
スーパーの売場でお米が品薄になる謎現象が起きてから1年以上が過ぎました。去年の夏には「新米収穫すれば事態は収束する」ともいわれていたのに、米不足と値上がりはますます深刻化。あげくの果てに政府が打ち出したゴテゴテな政策に不満不安を感じたのは私だけではないと思います。
スーパーや百貨店で買えなくてもコープ自然派があるからね、と余裕をかましていましたが、週を追うごとにポスティのお米のページが縮小され、呑気な私も流石に焦ると同時に、連合の商品部の方の苦労がにじみ出る紙面に、「ありがと~ファイト~!」と密かに感謝&応援してました。それにここは奈良県、いざとなれば近所の大きな直売所に行けば、品種も分づきも自分で選び目の前で精米してもらった米を購入できる、とのんびり構えていましたが、平成6年(2024年)産のお米は早々に終売。小売店の棚のスカスカっぷりも備蓄米放出後は多少マシではありますが、今なお豊富な品揃えとは言えず、価格はご存じ倍近くに値上がりしています。ナニコレ?平成の米騒動は冷夏による不作と原因が分かっていたし、翌年の食卓には平和な日常が戻りました。だけど今の状況は理解不能。長期に渡る農業政策の失敗じゃない?と政治のせいにしたくもなるわ。
でも冷静に考えると、食料自給率が低いと知りながらも積極的な行動を起こすでもなく、農家の負担に甘えてお米を生産してもらっていたことに気づかないふりをし、流通のいびつさを知らず、減反や補助金などの旧態依然とした政策が今の日本に適切なのかという問題に関心を寄せず、ただ消費するだけの私たちにも反省すべき所があったよなぁとつくづく思いました。暮らしに密接に関わる大切な主食だからこそ、今回の騒動で痛い目にあった私たち国民が、農政に限らずこれまで薄々ヘンじゃないかと感じていた色んな政策に声を上げなきゃマズイと気づけたのはいい機会だと思ったのでありました。
余談ですが、米不足によってポスティで2~3kg入りの米の取り扱いが増えたのは、老夫婦2人暮らしの私たちにはありがたき幸せ♪できれば年間予約にも少量規格があればもっと嬉しかったけどやむなし。そしてこれまでコープ自然派では見かけなかった品種(きっと仕入れ担当の方が必死でかき集めてくださったんですよね!)を試せるのも得した気分。
ツヤツヤ新米も食べたいけれど、せっかく仕入れてもらったお米を無駄にしないためにも、少し寝かせた米の方が美味しく炊けるメニューはいかが?酢飯も良いし、パエリア、ビリヤニ、ジャンバラヤなどにもチャレンジしてみませんか?
うのまきこ | UNO Makiko
料理研究家。食品メーカーで新製品開発等に従事したのち、料理研究家・古川年巳氏に師事。わかりやすいレシピと、野菜をたっぷり使ったヘルシーで簡単な料理に定評がある。アトピーっ子のための簡単な除去食メニューも得意。コープ自然派奈良元理事長。
Table Vol.519(2025年11月)

