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連載

わくわくキッチン「価値観のアップデート」うのまきこ

イラスト/ 友野可奈子

 今年のカレンダーも残りが半分以下って事を急に意識したお盆明け、妙に気が焦りだして日記を読み返した。最初のページにデカデカと書いてあるのは立春の頃に何となく頭に浮かんだフレーズ「自分の中の固定観念をひっくり返す!」。唐突に書き始めた日記が半年も続いているのは飽き性の私にしては快挙だけれども、今年は固定観念改革の年にするぞと決心したことをきれいさっぱり忘れてた、情けない。
 そもそも昔から脈絡なく思い付きで行動する癖があり、やったことないことや苦手なことにでも好奇心さえ湧けば躊躇なくチャレンジするし、嫌いなモノやコトが急に逆転して大好き大得意になるパターンもたくさん経験している。今さら自分の中でこびりついている「固定観念」あるのかな?と思ったけど、多分それ自体が思い込みなのかもよと自問自答した。人混みが億劫で興味がなかった万博に出かけたのも「自分の価値観を疑ってみる」を意識したからで、いざ行ってみたら混雑も暑さもへっちゃらとは言わないけど面白さの方が余裕で上回った♪そんなこんなを思い出し、気持ち新たに自身のルーティン思考の粗探しをしていた時、これまで毛嫌いしていた便利な調理道具を使ってみようと思い立ち、野菜の水切り器(スピナー)とスライサーを買ってみた。そういえばこれも思い込み行動なんだけど、「生野菜は体を冷やす」と教えてもらってから数十年、あまり食べないようにしていた。でもよく考えると私は冬でも手足の先までホカホカで冷え性とは真逆体質。パンを焼くようになってからは季節野菜のサラダを添えている。これまでさらし布巾でせっせと水気を拭き取っていた千切りキャベツをスピナーに入れてくるくる回すと一瞬でカラリと水気がなくなり、梅酢と豆乳とハチミツとゴマ油を空き瓶に入れてシェイクした適当ドレッシングがよくからむ。さて次は人参をスライサーで薄切りしようと張り切ったが、夏のゴリっと硬い人参はスライサー初心者には難易度が高く、力加減をミスしていきなり親指の先に思いっきり刃が入った、ギャァーー!利き手指先の深い切り傷は想像以上に不便で、傷がふさがる迄の2週間弱は例えば卵を割る、ゆで卵の殻をむく等の幼児の料理教室でやってもらうような作業すらままならない、トホホ。スライサーなめたらアカン。頭ではわかっていたけど身をもって知ったのでした。でもさ、このまま負けたくないし、スライサー使用時に指をガードする小さなトング的な道具を見つけちゃったから買おうかな…。ん?私は何と戦い何をアップデートしてるんだっけね⁇

うのまきこ| UNO Makiko
料理研究家。食品メーカーで新製品開発等に従事したのち、料理研究家・古川年巳氏に師事。わかりやすいレシピと、野菜をたっぷり使ったヘルシーで簡単な料理に定評がある。アトピーっ子のための簡単な除去食メニューも得意。コープ自然派奈良元理事長。

Table Vol.518(2025年10月)

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