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食と農と環境

熱帯雨林の現状って?

世界で3番目に大きい島で、世界最古・アジア最大の熱帯雨林が広がるボルネオ島。8月3日(金)、コープ自然派兵庫(ビジョン未来主催)は、熱帯雨林の現状とアブラヤシについて学び、子どもたちは「緑の回廊プロジェクト」に協力するために缶バッジをつくりました。

講師の森井真理子さん(右端)と「ビジョン未来」スタッフおよび参加の子どもたち。

野生動物が絶滅の危機に

 講師のNPO法人ボルネオ保全トラスト・ジャパン(以下BCTJ)理事・森井真理子さんは、おつれあいの仕事の関係で2年半スマトラ島に住んだ経験があり、BCTJ設立時(2008年)から活動に参画しています。

 夏休み企画でもあり、子どもたちにわかりやすく伝えるために、熱帯雨林に生息する野生動物をはじめ昆虫や植物などの美しい映像を見ながら、森の中での棲み分けやその特徴について説明します。オランウータン、テングザル、ボルネオゾウ、サイチョウなどが生息する森は、220種以上の哺乳類、600種以上の鳥類、そして、昆虫にいたっては未知のものがほとんどと言われるほど多種多様な動植物の宝庫でした。しかし、森林伐採やそれに続くアブラヤシ農園の開発によりこの半世紀で森は半分になり、野生動物は棲み処を追われ絶滅の危機に瀕しています。

使っているのは、私たち

 1960年代の高度成長期に伴い、高層ビルや住宅の建築資材として熱帯雨林の森林を安価な価格で大量に輸入したのは日本だと森井さん。そして、現在はパーム油を絞るためのアブラヤシ農園が拡がり続けています。パーム油は単位面積当たりの生産性が高く、融点を自由に変えやすいなど使い勝手がよいことから生産量は世界1位、日本でも菜種油に次ぐ消費量となり食品、洗剤、化粧品、バイオ燃料などに使われています。その結果、森林が減少し、生物多様性が損われて人間と野生動物との衝突が増加、伐採による森の保水機能低下や泥炭地開発による火災や煙害(ヘイズ)で災害も深刻になっています。また、農薬や化学肥料、違法労働や児童労働などの問題も抱えています。

 2003年に設立されたRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)の活動に関心が高い欧米諸国に比べ、日本では年間60万トンのパーム油を輸入しているにもかかわらず、表示が曖昧なため多くの消費者はパーム油とは知らずに消費しています。RSPOは原生林を切らない、児童労働をさせないなどの基準を満たしたパーム油を認証油と指定、認証油を使うことは森や動物を守るひとつの方法になります。日本は認証油を使用する商品は少ないので、消費者が認証油を使うよう企業に働きかけることが大切です。

目に見える形の恩返しを

 BCTJはマレーシアのBCT(ボルネオ保全トラスト)と協力してキナバタンガン川沿いに点在する保護区と保護区の間の土地2万haを確保し、野生動物が自由に移動できる「緑の回廊」づくりを目ざしています。そして、200円で畳1枚分の土地を確保できるので缶バッジ募金に取り組んでいます。また、アブラヤシ農園に入り込むことから害獣扱いされているボルネオゾウを森に戻す前に一時的に保護する施設の建設や運営を支援する「ボルネオへの恩返しプロジェクト」、大木が伐採されて川を渡れなくなったオランウータンのために中古の消防ホース使用の「吊り橋プロジェクト」なども行っています。

子どもたちは缶バッジで畳1枚分の森をオランウータンにプレゼントできる「緑の回廊」プロジェクトに参加、現状や制度を知り、自分たちができることから協力する体験となりました。

別室では子どもたちが「緑の回廊」プロジェクトの缶バッジづくりに取り組みました。

Table Vol.376(2018年10月)

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