ICEBA(アイセバ/生物の多様性を育む農業国際会議)は、生物多様性を基盤とした地域循環型農業技術の確立と、国内外への普及を目指す国際会議です。2025年7月12日・13日には、7回目となるICEBA7が徳島県小松島市で開催されました。
2025年7月13日、閉会式の様子をお届けします。
中干ししない米づくりで地球温暖化防止と生物多様性保全に貢献することを確認
2日間にわたる「第7回生物の多様性を育む農業国際会議(ICEBA7)」は、日本各地や韓国、台湾から専門家や生物多様性保全活動を行う団体等が集い開催されました。ICEBA7では、2008年のラムサール条約COP10にて日韓共同提案により採択された「水田決議」に立ち返り、湿地システムとしての水田の豊かな生態系を再生・維持する取組が多角的な視点で話し合われました。
閉会式では、実行委員長を務めた中山俊雄小松島市長が、「ICEBAがめざす生物多様性を基盤とした地域循環型の農業技術の確立と普及は急務です」と語り、今回、水田の持つ多様な機能の有効性と、中干ししない米づくりが豊かな生態系の再生に貢献することを確認した「小松島宣言」を読み上げました。

コープ自然派事業連合の岸理事長は、「高校生の挑戦は未来への希望です。科学的な知見を重ね、中干ししない米づくりが温暖化防止にも寄与することを実証する新たな出発点として、この輪を国際社会に広げましょう」と呼びかけました。

次回ICEBAは栃木県小山市で開催
次回のICEBAは、2026年7月に小山市で開催される「第3回全国オーガニック給食フォーラム」の分科会で「ICEBA7.5」として行われます。小山市長の浅野さんは「生物多様性とオーガニック給食は切り離せない関係にあります。自然と共生する社会をめざしてオーガニック給食、有機農業をどう進めていくかを議論したい」と語りました。

第7回生物の多様性を育む農業国際会議 小松島宣言
【宣言】
私たちは、「中干ししない」米づくりが地球温暖化防止と生物多様性保全に貢献していることを再確認するとともに、以下のとおり宣言する。
1.良質米生産と環境保全型農業の両立を目指す見地から「中干ししない」稲作技術を推進し、農薬や化学肥料に依存せず、水生動物のダメージを減らし、食物連鎖の営みを保全しながら、多収穫で高食味の米づくりを実践する。
2.生物の多様性を育む農業を普及推進していくためには、様々な関係機関におけるネットワークの形成が鍵となる。広範囲のネットワークを形成するとともに、生物の多様性を育む農業が市場において経済面で高く評価される取り組みを推進する。
3.農林水産省が推進している「みどりの食料システム戦略」は持続可能性と生産性向上の両立を掲げている。その中で、有機農業については、2050年までに有機農業の取組面積を耕地面積の25%に拡大する目標が掲げられている。関係機関と連携し、持続可能な米づくりを推進し、当該目標達成に大きく貢献する。
Table Vol.518(2025年10月)

