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食と農と環境

「夢が広がる」佐伯さんおはなし会

2024年10月3日、コープ自然派兵庫(理事会)は日本有機加工食品コンソーシアム専務理事の佐伯昌昭さんを招いて「夢が広がる」を書き始めた経緯や、生協の面白さを聞きました。

日本有機加工食品コンソーシアム専務理事の佐伯昌昭さん

協同組合は組合員の所有物

 生協は社会運動の一つとして、戦後まもなく全国、特に関東で数多く立ち上がった協同組合です。佐伯さんは「1960年代以降、学生運動でヘルメットを被り走り回っていた人たちが、自分たちで仕事をつくろうと〝大学生協〟を経て〝地域生協〟を立ち上げた」と説明します。現在もさまざまな社会問題が次々に起き、一人ひとりの行動力が問われる時代です。「みなさん、一人では何もできないと思っているかもしれませんが、協同組合は組合員の所有物です。自分のものとして考え、行動して、それを利用できるというのが面白さです」と。生協の方針は組合員が主体となり実現していくもの。「生協が世の中や自分にどれほど役立つか気づいてほしい」と話します。そして、「生協の民主化で一番大切なのは説明責任です。組合員が学んで、疑問があれば質問してほしい。そうすると生協が強くなります」と、組合員のチカラに訴えかけます。

16年書き続ける「夢が広がる」

 毎週カタログと一緒に届く「夢が広がる」を書くきっかけとなったのは、「自然派Styleツルをよぶお米」でした。16年前、徳島の米農家である浜田孝俊さんは、農協からの依頼に応えて仲間たちと3000袋の米を生産しましたが、米づくりの終盤に取り引きがなくなるという出来事が起こりました。その米を何とかしようとコープ自然派で米を引き受け、組合員に買ってもらうために「夢が広がる」を書き始めたのです。佐伯さんは「米が売れない場合は私の責任、一生懸命浜田さんとコミュニケーションをとって情報を聞き出し、米を売り切ることができました」と、当時を振り返ります。「組合員の温かい支援があったからこそで、その後、精米事業などの設備も整えていくことができました」と、組合員とともに「自然派Styleツルをよぶお米」を育てていけたことに感謝を述べます。

佐伯さんとコープ自然派兵庫正橋理事長

夢はどんどん広がる

 みどりの食料システム戦略の重点施策「オーガニックビレッジ」が全国で100市町村を超えています。有機農業に地域ぐるみで取り組むもので、学校給食に有機農産物を使用する事業に補助金を活用できます。佐伯さんは「補助金の使い道として、営農企画の今城さんがつくる北海道産有機小麦を使ってもらいたいと考えています。オーガニック給食を願う組合員の想いを実現したくて思い浮かんだ策です」と。そして、協同組合原則の一つである教育機能に触れ、「想いの実現は世の中の誰かがやってくれるのではなく、組合員が自ら学んで、行動に変えていけばいいのです。給食の現状や、補助金の使い方、有機農業のことなどを学んで、行政に伝えてほしい」と話します。

食べる人を増やしていこう!

 日本有機加工食品コンソ―シアムでは冷凍国産有機ほうれん草に続き、国産有機小麦を使用した冷凍の「有機小麦粉使用さぬきうどん」が登場しました。また、有機大豆を使ったスイーツも開発中です。つくっても食べる人がいないと絵に描いた餅になります。生協の組合員が増えることが、しっかりと消費する仕組みにつながるのです。佐伯さんは、「生協は友達を紹介して広がっていくことが理想で、原点は組合員が見たこと、聞いたことを直接相手に伝えること。まずは組合員活動に参加することでより多くの人に伝えられると思います。そして、自分たちの想いを生産者に伝え、買い支えることで世の中が回っていく。回り回ってコープ自然派が大きくなることにつながる。そうやって自分たちの生協をもっと盛り上げていきましょう!」と締めくくりました。

「夢が広がる」の読者が多数参加し、直接話を聞けて感激していました。

Table Vol.509(2025年1月)

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