2024年8月24日、コープ自然派おおさかでは堀内果実園へのバスツアーを開催。完熟のブルーベリー摘みと、堀内果実園が運営する「五條市立5万人の森公園」でのランチを楽しみました。
くだものをたのしむ
堀内果実園は、奈良県五條市で果樹を専門に栽培する農家。開墾から120年を超え、現在の社長堀内俊孝さんは6代目です。農園では柿、みかん、カリン、いちご、すもも、梅、桃、ブルーベリーなどを栽培しています。さらに、「皮をむくのも面倒」「手が汚れる」「たくさんあっても食べきれない」などの理由で生の果物を敬遠する人にも、もっとくだものをたのしんでほしいと、フリーズドライやジャムなどの加工品や直営カフェの運営も手掛けています。
自然にやさしい栽培
8月下旬はブルーベリーの最盛期。ブルーベリーには、目に良いとされるアントシアニンや食物繊維などの栄養が豊富に含まれています。ブルーベリー園ではたくさんの完熟の実が光に照らされ輝いていました。「よい木を育てる秘訣はしっかり根を張らせること。そのために大切なのは、なんといっても土づくりです」と堀内さん。ピートモスや吉野の木のチップなど有機マルチを冬の間にしっかり入れているので、土がふかふかです。「微生物のチカラを借りて、元気な木を育て、おいしい果実を実らせるために、今でも毎日勉強です」と堀内さんは話します。
堀内果実園では自然にやさしい栽培を心がけ、ブルーベリーは基本的に農薬や化学肥料は使わずに栽培しています。ただ今年は、まだ木が小さい一部の園地でBT剤と呼ばれる殺虫剤を一度だけ使用しました。伸びた新芽を虫が食べてしまって木が大きくならなかったからです。そのため今年のブルーベリーは「省農薬」表記での販売となりました。「気候変動の影響で虫が増えたり高温障害が起きたり、農産物全般が年々つくりにくくなっていることは、消費者にも理解してもらいたい」と堀内さんは話します。
コープ自然派とともに12年
コープ自然派とのつきあいは約12年前から。東京農業大学でオーガニックを学び、卒業後Uターンして家業である農園を継いだものの、経営は下降線。なんとか出荷先を開拓したいと考えていたときに、知り合いに紹介されたのがコープ自然派でした。それまで市場で「買い手が値段を決める」取引しかしたことがなかった堀内さんは、生産者と生協が相談して値段を決める透明性の高い取引に感動したそう。また、果樹は植えてから出荷できるまでに短くても5年ほど必要です。コープ自然派が拡大方針を明確に打ち出していたからこそ、計画的に園地を広げていくことができたといいます。
コープ自然派へはじめて柿を出荷したとき、なんと柿の渋が抜けていなくて渋柿だったという大事件が。大慌てで謝りに行き、これでもう取引終了かと覚悟していましたが、生協の担当者が畑まで様子を見に来て「奈穂子さんがつわりの中がんばって出荷してくれたんですね。これからもよろしく」と寄り添ってくれる姿勢にまた感動したと話してくれました。
五條市の活性化へ
堀内果実園はこれまでの実績を買われ、今年7月五條市立5万人の森公園に農産物直売所「gogoストア」と、「gogoカフェ」をオープン。公園内ではバーベキューなどを楽しむこともできます。「堀内果実園のくだものを食べた人たちが、そのふるさとである五條市を訪れさまざまな体験を楽しみ、それが地域活性化にも繋がる」という夢を抱いていた堀内さんにとって、新たな挑戦の場です。常に未来に向かって挑戦を続ける堀内果実園から目が離せません。
Table Vol.507(2024年11月)