有限会社四日市酪農は、1952年に三重県の鈴鹿山麓周辺の酪農家で構成された組合から発足、飼料をNON-GMO(非遺伝子組み換え)100%にするなど、安全で新鮮な乳製品を製造・販売しています。
コープ自然派では2020年から、「自然派Style低脂肪牛乳モ〜ちゃん」「自然派Styleヨーグルト生乳90%使用」などの取り扱いが始まりました。

牛舎でくつろぐ牛たち。地元農家と連携し、牧場から堆肥を供給するなど有機資材の循環と持続可能な農業体系を目ざしています。

鈴鹿山麓生まれの牛乳

 一行は四日市市水沢町の「あのつ牧場」を訪問。「あのつ牧場」は繁殖から搾乳、製造、加工、販売まで一貫して行います。徹底した衛生管理と牛にとって快適な飼育環境、最先端のIoT技術の導入など新しい時代の酪農スタイルを確立。1996年、牛を繋がず自由に動き回れるスペースを確保した「フリーストール牛舎」を取り入れ、飼料は24時間絶やすことなく好きな時に好きなだけ食べられます。堆肥を1m近く積み上げ、おが屑を足しながら朝夕2回攪拌してふん尿を堆肥化する「コンポストバーン牛舎」は、スタッフの足が埋もれてしまうほどやわらかくなるため、牛の蹄に優しく、体への負担が少ないとのこと。ストレスフリーな環境と堆肥化による衛生面の向上で、乳房炎の減少など健康な牛の育成が可能になりました。堆肥は4割をリサイクルし、残りは牧場周辺の茶畑の肥料やペレットにするなど循環型農業にも積極的に取り組み、新たな酪農スタイルを確立しています。

「あのつ牧場」を案内するファーマーズホールディングス株式会社代表取締役CEO・太田誠治さん。

NON-GMO100%

 飼料はNON-GMトウモロコシや国産大豆かすなどを原料に40日間発酵させた自家製飼料(大豆かすは地元の農家と契約する食品工場から豆腐や醤油の搾りかすを購入)。「あのつ牧場」の牛1頭あたりの平均乳量は34kg(一般的に夏16〜18kg、冬22〜25kg)と、安定して高い乳量と高品質な生乳が得られるのは、飼料の質の高さも理由の1つ。海外産トウモロコシ高騰の影響で、2023年から鈴鹿市の農家と協力して30haの国産デントコーン栽培に取り組み、将来的には耕作放棄水田100haを利用し畜産飼料の国産化を目標にしています。

持続可能な新しい酪農

 「あのつ牧場」は最新の全自動搾乳機を8台導入しています。全自動搾乳機は搾乳機に搭載されたカメラが牛の乳房と乳頭の位置を確かめ、乳頭を洗浄し、センサーで乳房の状態を確認しながら搾乳。通常の搾乳機は乳が出ない乳房も搾るため、痛みや乳房炎になりやすいなどのリスクがありますが、全自動搾乳機は牛たちにとって快適とのこと。また、全自動搾乳機につながれると好物のエサが与えられる仕掛けがあり、牛たちは早く絞ってほしくてギュウギュウ押し合いながら順番を待っています。人が機械や牛舎に無理やり追い込まず牛のペースに合わせ、ストレスなく健康を保つことができます。搾乳後、生乳は約1時間で工場に運ばれ加工処理されるため、新鮮な状態を保ち、細菌数1000以下と乳質の状態がとても良いということです(乳等省令により牛乳の細菌数は1mlあたり400万以下と規定)。

 「あのつ牧場」は最先端のIoT技術で飼育管理の最適化・省力化を図っています。牛の耳に番号を付け1頭ごとのカルテを作成、デジタルデータで24時間管理・記録し、AI(人工知能)と併用することで、牛の肥育や病気の予防、繁殖も管理。家族酪農経営では60〜80頭の管理が限界のところ、最新機器の導入で「あのつ牧場」では搾乳牛250頭と生産性が大幅に向上しました。今後は1000頭規模のメガファームを目標に、最新技術を駆使し、アニマルウェルフェアを実践することで持続可能な新しい酪農を目ざすということです。

8台ある全自動搾乳機で1日3回搾乳しています。

海産&酪農アンバサダーin三重県の記事一覧はこちら>>

Table Vol.478(2022年12月)より
一部修正・加筆