バナナ栽培の過酷な実態
映画「バナナの逆襲」は、中米ニカラグアの12人のバナナ農園労働者が米国の超巨大企業・ドール社を訴えた法廷ドキュメンタリーです。世界最大規模の食品会社・ドール社は米国では使用禁止されていた農薬DBCPをニカラグアで使い続けていました。その結果、多数の労働者が不妊症(無精子症)になってしまいました。そして、1970年代から現在までドール社はその責任をとろうとしていません。
映画ではニカラグア人労働者たちの法定代理人であるドミングス弁護士と同僚の弁護士がDBCPによる被害を明らかにします。そして、「これはニカラグアの農園を撮った映画ですが、フィリピンやパナマ、コートジボアールなどのバナナ農園でも同じ状況です。この映画のメッセージは小さなバナナ農園労働者たちと巨大企業の闘いです」とゲルテン監督。映画では男性の不妊症を取り上げていますが、先天性異常や流産も多発しているとのこと。「映画を観た小学生が毒にまみれたバナナを売るのは止めて!とスーパーに手紙を書き、スーパーはドール社の商品をボイコットできなかったものの、ドール社に対してフェアなバナナを取り扱うよう圧力をかけました。スウェーデンではフェアトレードバナナのシェアはわずか5%でしたが、この映画によって市民の意識が高まり、上映後には50%以上になりました」と監督は語っています。
コープ自然派のバナナ
現在、コープ自然派で取り扱っている「有機自然派バナナ」(バレリー種)は自然の力を最大限に利用し、ミミズや土壌微生物の働きを活かした土づくりに力を入れています。バナナ栽培で1年間に必要な栄養分は化学肥料を使用せず、追肥・液肥で補い、化学合成資材は使用していません。また、「ドールオーガニックバナナ」は害虫の発生が少ない砂漠気候の地で化学合成農薬・肥料を使用せず栽培、欧米を中心に世界13ヵ国で販売されています。
参加者は2種類のバナナを食べ比べながら映画の感想を話し合いました。「市販バナナは農薬が大量に使われていると思っていましたが、そのとおりですね」「世界のバナナ農園の実態がわかりました。コープ自然派ではドール社以外のバナナを取り扱ってほしいです」「離乳食を始めるのでバナナについて知りたいと参加。農薬は食べる人にも栽培する人にも悪いことがわかりました」「ドールオーガニックバナナを取り扱うことに抵抗があります。少し高くても他の有機バナナの方がいいのではないでしょうか」などの感想が得られました。
コープ自然派事業連合商品部では「有機自然派バナナ」とともに取り扱うバナナを1年以上にわたって探してきましたが、価格差などの問題もあって見つからず、現状でのベターな選択として「ドールオーガニックバナナ」を取り扱っています。
Table Vol.374(2018年9月)