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生産者訪問・商品学習会

【寄稿】理事長研修レポート①谷食糧~旭商事・山川農場

2019年12月19日(木)~21日(土)、コープ自然派各生協理事長が徳島県と高知県の生産者などを訪ねました。3日間にわたるレポートを順次紹介していきます。

国産そば粉製造は日本一~谷食糧~

 谷食糧は、吉野川の第十堰近く(徳島県石井町)にある、そば粉製造会社です。国産そば粉の製造では日本一のシェアで各地に取り引き先があり、コープ自然派でおなじみの赤池食品や本田商店のそば粉も谷食糧で製粉されています。谷食糧に入荷された原材料は検査を徹底。残留農薬検査や菌数分析、アレルゲン分析などの検査を複数回行うことで安全な原料が確保でき、信頼できるそば粉がつくられます。2011年7月より放射能の検査分析機器を導入し、放射性物質の検査を開始。 すべての原材料の入荷検品時に「放射線モニター」によるスクリーニング検査を実施し、製粉ラインに持ち込む前に検査をすることで、付着物による工場内の放射能汚染を防止します。さらに、そば原料は全ロットについて「ガンマ線スペクトロメーター」による検査を実施し、「放射線モニター」では測定できない放射性物質の種類と量(放射性ヨウ素、セシウム)を測定、基準値以下であることを確認しています。

 有機製造ラインは別に設けられ、2006年3月に有機JAS認定を取得。今後、コープ自然派で取り組んでいる北海道産有機そばの製粉についても検討をお願いしました。

(コープ自然派しこく・岡田)

未来をつくるオーガニックたまご~旭商事~

人懐っこい鶏たちが出迎えてくれました。

 徳島県吉野川市の山間にある旭商事・山川農場の一部に、コープ自然派に出荷されるオーガニックたまごとPHF(ポストハーベストフリー)平飼いたまごの生産鶏舎があります。

 もみ殻がたっぷり敷かれた鶏舎の中で自由に歩き回る鶏たちが私たちを迎えてくれました。人懐っこく、ちょんちょんと長靴をつつきにきます。1羽当たり、0.15㎡の広さを確保した鶏舎は、驚いて逃げ惑うときに起こる圧死事故を防ぐために、部屋が5つに仕切られています。

 旭商事では、コープ自然派の平飼いたまごの基準によって、経済効率を目的とする強制換羽(※)を行わず、アニマルウェルフェア(動物福祉)の観点に基づいた環境で飼育してきました。そして、組合員の声を受け、オー
ガニックたまごの取り組みを決めました。しかし、その道のりは予想以上に険しいものでした。たまごのコストの65%を占める有機飼料代がPHF/NON -GMO飼料の約4倍と高価、しかし、旭商事は、国産有機飼料米・麦の活用方法をコープ自然派の生産者仲間とシェアするなど、飼料のコストダウンの努力を進め、さらに容器の素材も脱プラスティックの研究中だということです。目ざすは、デイリーユースのオーガニックたまご。コープ自然派がすすめる「国産オーガニックを拡げる取り組み」にもいち早く参加を決めた旭商事の気概を感じました。

旭商事・山根代表にオーガニックたまごへの熱い想いを聞きました。

 一方、あまりに早いオーガニックたまごの実現に、その素晴らしさの告知が追い付いていません。今、私たちが支払うオーガニックたまご代には、これからの国産オーガニック推進のためのすべてへの投資も含まれているのではないでしょうか。こうち有機研究会認証を受けたおいしいオーガニックたまごは、毎年、3~4月に雌鶏(ボリスブラウン)入れ替えのため、6週間ほどお休みになりますので、注文のチャンスを逃さないようご注意を。

(コープ自然派京都・坂本)

※強制換羽:飢餓状態になると産卵を止め、羽がほとんど抜け落ちた後、再び羽毛が生え始めたときに卵を産む能力が戻るという雌鶏の体のサイクルを利用して、産卵率が落ちた雌鶏に10日~2週間、餌を与えず強制的に羽を抜け変えさせ、再び産卵率を上げるという方法。餓死する場合もあり、日本では6割強の生産現場で行われている。

Table Vol.417(2020年6月)

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