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食と農と環境

いのちをつなぐ食べものを守ろう!今、そして未来のために

2024年2月24日、第18回GMOフリーゾーン運動全国交流集会が熊本市で行われました。ゲノム編集食品1号となるゲノム編集トマトは熊本で栽培され、安全性審査もないまま市場に出始めました。食の安心安全を願う国内外の活動団体がこの地に集まり、GMOフリーゾーン(農地、牧場、森林、海)登録や活動の報告、基調講演が行われ、翌日には開催地熊本ならではの水俣・阿蘇見学ツアーが行われました。
※GMO=遺伝子操作生物

地域にGMOフリーゾーンを広げ、自治体に条例を

 2024年1月、世界の政財界のリーダーが集まるダボス会議で耳を疑う発言が飛び出しました。農業や漁業はエコサイド(生態系や環境を破壊する重大犯罪)とみなすべきだというもので、農漁業や畜産の営みを否定しようとする意図が表れています。気候変動を理由に人工的な食を推進し、ゲノム編集した作物や魚類、食用昆虫の栽培・飼育、そしてゲノム編集技術を応用した新しい技術もすすんでいます。日本だけで流通している食品もあり、これらが時代の最先端の食料安全保障の切り札とされて私たちの食卓に押し寄せ始めています。

 その対抗策として、遺伝子組み換え作物やゲノム編集食品などの遺伝子操作生物を拒否する地域を広げる運動「GMOフリーゾーン運動」がとても重要な時期にきています。フリーゾーンが広がると、GMO栽培をすすめる企業や、推進する研究者などに対抗することができます。世界の種子の6割以上をバイオメジャーと呼ばれる巨大な多国籍企業が占めるなかで、地域ごとに異なる多様な種子を守り、農業、漁業、くらしを守ることが食料支配からの脱却につながります。「消費者と生産者が共同してGMOフリーゾーン地域を広げるとともに、自治体にGM作物の栽培を規制する条例の制定を働きかけましょう」という呼びかけに、参加者はこの集会を起点にGMのない世界を目指していくことを確認し合いました。

全国、世界に広がるGMOフリーゾーン運動

 熊本県立菊池農業高校農業科・作物専攻の生徒から、水稲を中心とした有機農業の取り組みが報告されました。地域との連携事業のほか、フランスの農業高校を視察交流し、共同研究の情報を交換したり、有機野菜の栽培では20 品目を超える多品目栽培を実施。肥料は畜産科の堆肥を使用し、エサの一部に水田の稲わらを利用するなど循環型農業を行っています。熊本県の農業高校では初の国際基準JGAPを取得し、有機JAS認証も申請中です。新たな取り組みとして、オーガニック給食への米・野菜の供給や、地域の伝統文化の継承など、めざすものを見据えて地域と連携し、「熊本県から日本全体の農業のさらなる発展に貢献することを約束します」と力強く発表しました。 

 団体報告では、あいコープみやぎ、コープ自然派、生活クラブ、なのはな生協、グリーンコープ共同体の取り組みが報告され、コープ自然派からは重イオンビーム育種米学習会の報告を行いました。遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン事務局からはGMOフリーゾーン登録の報告があり、農地10万7311ha、牧場321ha、森林7311ha、海は12万17haへと登録面積が広がり、個人サポーター宣言は2万7862人、事業サポーターは181社となりました。

取組を報告するコープ自然派奈良・西村常任理事、コープ自然派兵庫・塩見常任理事

 海外から台湾、ヨーロッパ、韓国の各地でのGMOフリーゾーン運動の様子が報告され、日本だけですすむゲノム編集食品について「健康と環境の保護を何よりも重視し、規制が必要です」とメッセージがありました。

 来年度の開催地は、農水産物へのゲノム編集技術の活用に積極的な愛媛県です。今年度開催のグリーンコープくまもとからコープ自然派しこくへバトンの受け渡しが行われ、コープ自然派しこく・野島常任理事は「食べものは大切だよね、税金をそんなことに使われたくないよねと、四国から全国へ声をあげていきたい」と抱負を語りました。

Table Vol.500(2024年4月)

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