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食と農と環境

日本の農業の新たな一歩!オーガニック・エコフェスタ2024

2024年2月10日~11日は徳島県小松島市にて、有機農家と消費者向けのイベント、12日には初の試みとして東京で流通シンポジウムを開催されました。3日間にわたるプログラムの一部を抜粋して報告します。

身体に美味しい農産物コンテスト2024の人参部門で最優秀賞を受賞した徳島県海陽町の有近さん。

生物多様性と有機農業

 オーガニック・エコフェスタは、オーガニックの魅力と重要性を伝え、有機栽培に取り組む生産者を応援するために2012年から開催しています。

 現在、徳島には147羽のコウノトリが生息し、全国の約半数が徳島にいます。30年前、小学生が集団登校する上空から農薬散布が行われ、コープ自然派など市民団体と農家、農協がぶつかり合いました。それを収めたのがオーガニック・エコフェスタ実行委員長を務めるJA東とくしまの荒井組合長でした。「有機農業をすすめるから3年ほしい」と農薬削減に取り組み、その成果がコウノトリの飛来へとつながったのです。農薬を減らせば生態系は復活することが実証されました。

 生態系が豊かになると、人間はその恩恵を受けて豊かな生活を送ることができます。環境に負荷をかけない有機農業の価値を広げて日本再生への一歩となるよう、12年間徳島で培ったオーガニックのエネルギーを東京へ、そして日本全国へ発信しようと東京開催に至りました。東京会場では、営農企画の今城さんなど日本のオーガニックを牽引する顔ぶれが集い、最先端の情報や課題が話し合われました。

栽培法と栄養と健康

 10日に行われた有機農業技術者会議では、「身体に美味しい農産物コンテスト」に続いて、植物と微生物との共生関係や、栽培法と栄養価と健康との関わりについて最新研究の報告がありました。有機栽培だからといっても、必ずしも栄養価が高いとは限りません。単に化学肥料を有機肥料に置き換えるだけではなく、植物と共生する微生物のチカラを活かす有機栽培の優位性が科学的に証明されようとしています。

迫る!日本の食料&農業危機!鈴木宣弘さん× 山田正彦さん

 12日、「農と食交流イベント」では元農林水産省官僚で東京大学大学院教授の鈴木宣弘さんと、弁護士で元農林水産大臣の山田正彦さんによるトークセッションが行われ、世界の流れと日本の食と農業の現状が語られました。
 
 ウクライナ危機で食料争奪戦が激化しています。日本の食料自給率は38%ですが、肥料を含めると22%、さらに種も含むとわずか9.2%。軍備ではなく農業に予算を投じないと命を守ることができません。

 2023年3月、文科省が発表したデータでは発達障害児がこの10年で10万人増加していることを示しています。この推移はネオニコチノイド系農薬や除草剤グリホサートの使用量とも比例しています。韓国も農薬大国でしたが、学校給食に有機食材を提供することでオーガニック市場は日本の10倍に広がりました。日本でもオーガニック給食への関心は高まり、2023年6月には超党派の「オーガニック給食を全国に実現する議員連盟」が発足。学校給食を無償化できれば公共調達による給食のオーガニック化が進められます。また、食育基本法に給食へのオーガニック食材使用の指針を策定できれば推進力を増します。

 そして何よりも、食の安全を守るのは地方から。「地方分権一括法(国から地方へ権限や財源の移譲を進める法律)によって国と地方自治体は法律的に同格で、法令に反しない限りどのような条例でも制定することができます。山田さんは、「我々は主権者なのだから、学校給食でオーガニックを推進!という市町村条例をぜひ作ってください」と呼びかけました。

東京会場・流通シンポジウムの様子。

ICEBA7開催に向けて

 2025年7月、ICEBA7(生物の多様性を守る農業国際会議)を小松島市で開催することが決まりました。みどりの食料システム戦略の掲げる有機農業25%の目標を、20年前倒しで2030年度実現を目指すJA東とくしまの地元から、生きものと共生する農業を発信していきます。

ICEBA7開催に向けて、地元の高校生・大学生がワークショップを行いました。

Table Vol.500(2024年4月)

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