2024年1月5日、コープ自然派奈良(理事会みらい)は、コープ有機の田中マネージャーを招いて、きのこについて学びました。コープ有機は青果や穀物類の卸売をするコープ自然派の子会社です。
どうやってきのこはできるのか
しいたけ、エリンギ、しめじ、なめこ、まいたけ、えのき、マッシュルーム、きくらげ……いろんな種類のきのこ。それぞれどうやってできるのか知っていますか?野生の状態では、しいたけは枯れ木に、マッシュルームは馬糞に生えるなど、それぞれ適した環境で育ちますが、栽培する場合はほとんどが「菌床」(きんしょう)と呼ばれる培地で育てられます。
菌床とは、おがくず、米ぬか、ふすま、コーンコブ(とうもろこしの芯)などを混ぜて固めたものです。育てるきのこの種類に応じて原料の配合を変えます。菌床できのこを育てると管理しやすく、栽培期間も約90日と短期間で育つので、大規模に安定して栽培することができます。
一方、「原木しいたけ」は、クヌギやコナラの木を一定の長さに切ったものにドリルで穴を空け、菌を植えて育てます。菌床しいたけより原木しいたけのほうが肉厚でジューシー、香りが高い傾向がある一方、栽培期間が250〜300日と長く必要なこと、環境制御が難しく大きさや形にバラツキが出るなど、育てるのがより難しくなります。
きのこの「有機」とは
きのこは基本的にすべて無農薬で育てられています。湿度の高い屋内で育てられることが多いため虫がつかず、殺虫剤は必要ありません。草も生えないため、除草剤もいりません。きのこ自身が菌なので、殺菌剤をかけると全滅してしまうため、殺菌剤も使いません(使えません)。
ほとんどの場合、有機JAS認証をとることができる育て方がされていますが、認証をとるには手間もコストもかかるので、とらない選択をしている生産者も多いそうです。
気になる放射能検査結果
コープ自然派では2011年以降、「放射能の影響にしきい値はない」という考えのもと、放射能検査と結果の公表を継続しています。出荷基準は「不検出」が原則。検出が確認された場合は、直ちに供給をストップしています。しかし現在、原木しいたけとまいたけで放射性物質が検出されることがあり、検査結果をお知らせした上で供給を行うという運用をしています。
そもそも、きのこは微量元素を土からたくさん吸収する力を持っていて、ミネラルや食物繊維を豊富に含む食材ですが、微量元素と同時に放射性物質も吸収しやすい性質があります。コープ自然派の組合員が安心して利用できるように、生産者もおがくずの放射能測定をするなど、できるだけ気をつけて栽培してくれています。
欠品を許容するという誠実さ
ところで、コープ自然派の課題のひとつに野菜の欠品率が高いことがあります。注文した野菜が届かず困った経験をしたことのある方も多いのではないでしょうか。実は、コープ自然派の基準や生産者との関係性を無視して、何でもいいからかき集めてくれば野菜を届けることはできます。でも、そうしないのがコープ自然派のポリシーなのです。コープ有機では、生産者と信頼関係を結んで長期的な視点で欠品問題を解決すべく、新しい産地の開発や栽培の調整を行っています。
また、足りないことがある一方、生産者の畑で野菜が余ることもあります。そういう場合は、野菜セットに入れたり、食材セットの原料として使ったり、さらにコープ有機の卸先である他生協とも調整することで、より多く買い支えられるようになっています。
「誰もが有機農産物を食べることができる社会へ」というキャッチフレーズは、生産者も消費者も食べていける社会を目指すという意味です。持続可能な関係を、組合員のチカラで実現していきましょう。
Table Vol.499(2024年3月)