Table(タブル)はコープ自然派の情報メディアです。

生産者訪問・商品学習会

オーガニックとマクロビオティックをもっと食卓へ「ムソー株式会社」

コープ自然派兵庫は、ムソー株式会社代表取締役 出口裕起さんを招き、ムソーの考え方の根源となるマクロビオティックや、オーガニックへの想いを聞きました。

ムソー代表取締役の出口さん。お話に引き込まれあっという間の時間でした

マクロビオティックの先駆者

 ムソーは自然食品・オーガニック食品専門の商社で、その創業母体は「正食協会」。マクロビオティックの提唱者、桜沢如一さんの意志を受けた岡田周三さんが大阪府堺市でマクロビオティック(正食)の啓蒙・普及活動を始め、その後、自然食品の供給事業体として1969年に設立したのがムソーです。

 社名の由来である「無双」は、世の中に存在するものはすべて同一ではなく、それぞれの個性があり、その個性同士が相成りあって形づくられているというもの。その基本となる考え方は「陰陽調和」「一物全体」「身土不二」の3つで、特に「陰陽調和」がすべての基礎となります。自然界のものはすべて陰と陽の2つのエネルギーを持っていますが、バランス(中庸)を保ち、身体だけでなく精神的にも社会的にも健全であり続ける生活方法が「マクロ(無限、大きい)・ビオ(バイオ、生命)、ティック(術、学)」。ムソーはマクロビオティックの商標を持つパイオニアです。

 マクロビオティックは外国で生まれた考え方ではなく、日本から生まれた食生活の知恵であり、ライフスタイルです。アメリカのシンガーソングライター・マドンナさんが子どものために雇ったプライベートシェフがマクロビオティックを継承する日本人女性で、その影響も世界各国に広がった要因の一つとなりました。

コープ自然派の取り組み、ムソーとの関りを熱く語るコープ自然派兵庫の横川専務理事

負荷がないとは

 出口さんは愛知県知多郡の出身で、実家は伝統的な製法を継承するたまり醤油の蔵元。当時、出口さんのあそび場だった蔵には、蛇やネズミ、それを追いかける猫もいました。ねずみは慣行栽培ではなくオーガニック大豆を真っ先に食べ、幼少期から動物の本能的な力を目にしてきました。

 たまり醤油は大豆と塩のみで作ります。脱脂加工大豆を使うと生産性が高く、わずか3カ月程度で作れますが、色合いや食味を補い傷まないよう様々な添加物が必要となります。2〜3年、四季を通して木樽で作る伝統的な作り方は、醤油・作る人・食べる人・環境に負荷がなく、菌が本来の仕事をしてくれるため腐敗を防ぎます。「負荷をかけないということは、すべてのものが本来の力を発揮しやすくなるということ。食べものづくりも、あらゆる仕事や人間関係、生活の仕方も同じように思います」と出口さんは語ります。

自然と食卓をむすぶ架け橋

 人の身体は食べものからつくられ、そして食べものは自然とそれを生かす技術によりつくられます。「社会や環境、風土、人が調和できているかが大切」と言う出口さん。食と健康と人をむすび続け、素晴らしい社会づくりに貢献することを企業理念に掲げ、マクロビオティックの考え方に基づいた「安心・安全・健康」を前提にした商品開発と販売を行なっています。

国産オーガニックの推進

 世界のオーガニック市場は急速に拡大しており、アメリカ、ドイツ、フランス、中国等が大きな市場となり、日本は成長過程にあります。欧州では、「地元農家を守る」「人体や環境に害がない」「動物愛護」「次世代のため」にオーガニックを選択する人が多いのが特徴。日本でも、おいしさ・健康から突出した価値観を持つこと、また、欧州のような手厚い公的支援があれば市場の拡大や継続的な伸びが期待できるとのこと。「誰もが有機農産物を食べられる社会へ」という目標の共有と共感も大切で、オーガニック食品を購入できる機会と場所を広げて、関わるすべての人にとって負荷なく継続していけることが国内の市場発展につながります。2023年4月に設立した日本有機加工食品コンソーシアムでも、出口さんはコープ自然派とともに中心を担い国産オーガニックを推進しています。

講演会の後はアフタヌーンティーをイメージした軽食で懇談

Table Vol.497(2024年1月)

アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3

アーカイブ

関連記事

PAGE TOP