2023年11月16日〜17日、コープ自然派連合商品委員会アンバサダーin三重では、岐阜県しょうゆ協業組合、のだみそ株式会社、おとうふ工房いしかわ、赤須賀漁業協同組合を訪問しました。オンラインTableでは、2回に分けてその内容をお伝えします。
岐阜しょうゆ協業組合
日本は森・川・海の豊かな自然に恵まれ、その自然循環のもと地域の食材を活かした食べ物づくりを行なってきました。そして、この食文化「和食」は、米や大豆、野菜、魚を中心として、味噌、醤油、納豆などの発酵食品や豆腐といった多様な食べ物を生み出しました。コープ自然派の「国産派宣言」は、日本の食文化と農業を守り、食料自給率を高めることを目標としていますが、自然派Styleはこの取り組みを体現する商品です。生協連帯で自然派Styleを広げていこうとアイチョイス事業連合のみなさんと一緒に生産者を訪問しました。
■自然派Styleから広がる循環
岐阜県しょうゆ協業組合の工場は中央アルプスの最南端、恵那山の麓にあります。「国産にこだわりながら毎日使える価格の醤油」を目指した「自然派Style特選丸大豆醤油『豊穣の恵』」は木曽川の水脈をいただく地で作られています。2010年9月からポスティに登場し、主力商品になりました。原材料には国産丸大豆、国産小麦、国産塩のみを使用し、絶妙なバランスで原材料の比率を上げて旨み・コクを高め、約6ヶ月の熟成期間をかけて作られます。また、当初は二次発酵防止の目的で酒精を添加していましたが、組合員からの要望と生産者の努力により2019年には酒精を抜くことができました。
販売数量は開始時から約12倍に!おなじみの自然派Styleなごみつゆや自然派Styleカレーなど、さまざまな加工品に使用することで国産原料の使用重量もアップ。自然派Styleの願いである国産自給率向上にかなった商品です。自然派Style以外の加工品にも醤油を「豊穣の恵」に変えたことで味がグッと良くなった商品がいくつもあります。
■みんなで国産丸大豆しょうゆを消費しよう
1972年、岐阜県内の味噌醤油製造業14社が出資して設立した岐阜県しょうゆ協業組合。食生活の変化によって醤油の需要が減り、この50年で醤油屋は約1/6軒に。生き延びる策として、共同経営で生産性の向上を図り、醤油づくりを継続することで和食文化を守っています。
実は、この「豊穣の恵」開発のきっかけは、滋賀県にある丸中醤油の関連会社である中居商事が、岐阜県しょうゆ協業組合とともに品質を守りながら価格を抑えた商品開発に乗り出したことでした。丸中醤油は古式製法で三年熟成を基本とした醤油作りを行っていますが、二百年蔵で職人が手をかけじっくりと時に任せる製法は時間と手間がかかり、現代では稀なものになっています。50年間地産地消で契約栽培している国産丸大豆の農家との歩みから、国産大豆をもっと幅広く利用したいという長年の想いがありました。当時、コープ自然派でも国産丸大豆普及のためにポスティ基準の加工品に使える醤油の開発を進めようとしていました。そこで、一緒にやりましょう!とスタート。中居商事が商品開発・販売・営業を、コープ自然派は商品開発と組合員への供給、岐阜県しょうゆ協業組合は生産と、それぞれの役割をもって開発を進めました。
木樽で時間をかけて作ることが厳しくても、輸入原料ではなく国産原料で余分な添加物を使わない醤油が、信頼できるパートナーと想いを共有をすることで形になりました。生協外でも使える国産丸大豆使用の醤油は貴重。業務用でも貴重な国産を使った高品質な醤油として、マヨネーズ最大手のドレッシングに使用されたり、有名料亭のデパ地下惣菜に使用されるなど高い評価を得ています。さまざまな企業や学校給食に国産丸大豆醤油を使っていくことで、農家も作る人も食べる人も安心できる循環が広がります。②へ続く。
Table Vol.497(2024年1月)より
一部修正・加筆