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生産者訪問・商品学習会

遠く離れた国とのかけ橋に

2022年3月25日(金)、コープ自然派兵庫(ビジョン平和主催)は乾燥糸こんにゃく「ぷるんぷあん」でおなじみ、トレテス・中川啓さんを迎えて学習会を開催。「ぷるんぷあん」「ローシク・オーガニック・チョコレート」誕生秘話や商品の特長などについて聴きました。

トレテス代表取締役・中川啓さんはコープ自然派兵庫組合員。毎週商品が届くのを楽しみにし、防災食として「自然派Style鍋スープ」と「ぷるんぷあん」をセットで常備しているということです。

国際貢献と被災地支援

 「ぷるんぷあん」はインドネシア・ジャワ島に自生するムカゴこんにゃく芋を使った乾燥糸こんにゃくで、故・石井正治さんが約20年の歳月をかけて開発した商品です。石井さんは第二次世界大戦中にインドネシアへ従軍し残留日本兵としてそのまま定住、苦労の末、実業家として成功、農民の経済的な自立と故郷である日本の人々が喜んでくれるものをつくりたいとの想いから、私財を投じて「ぷるんぷあん」を開発しました。

 ムカゴこんにゃく芋は臭みがなく食物繊維が豊富な最高品質のこんにゃく芋で、日本で栽培できません。インドネシアではアク抜きをしてこんにゃくをつくる食文化がないため、ムカゴこんにゃく芋は雑草として放置されていました。そのムカゴこんにゃく芋にインドネシアで採れるキャッサバからつくったタピオカでんぷんを加え、乾燥して「ぷるんぷあん」はつくられます。こんにゃくは強アルカリ性の水に浸した状態で搬送されますが、「ぷるんぷあん」は乾燥しているため従来のこんにゃくの10分の1の重さで、水漏れの心配がありません。

 中川さんの祖父と石井さんが友人だったことが縁で、「ぷるんぷあん」の日本での販売が始まりました。1994年、中川さんの祖父と中川さんの母親(前宝塚市長・中川智子さん)が宝塚市で「トレテス」を創業。「トレテス」は石井さんがムカゴこんにゃく芋を見つけた場所、インドネシア東部ジャワにあるトレテス高原から名付けました。

 しかし、「トレテス」を立ち上げた翌年、阪神淡路大震災に見舞われます。智子さんは「ぷるんぷあん」の販売を中断してボランティア活動を始めますが、資金が底をついたため、「ぷるんぷあん」の販売を再開し、売り上げを活動資金に充てました。智子さんの活動を支援しようと生協などが注文するようになり、「ぷるんぷあん」は震災支援を象徴する商品となりました。コープ自然派との付き合いもその頃始まり、その後20年以上継続しています。現在、兵庫県の一部と東京都武蔵野市の学校給食でも使用されているということです。

 「ぷるんぷあん」はチャプチェやサラダ、鍋料理や肉じゃがなど、多彩なメニューに活用でき、湯戻しして簡単に使えます。こんにゃくの気泡に味が染み込みやすく、ぷりっとした独特の食感が味わえ、小麦麺のように伸びません。常温で長期保存ができ、小分けされているので必要量だけ使え、防災食としてもおすすめです。イタリアでは「ゼンパスタ」という商品名でグルテンフリー食材として販売され、流行しています。

VEGAN&RAW

 「ローシク・オーガニック・チョコレート」は動物性原材料不使用で、42℃以下で時間をかけて丁寧につくられたヴィーガン&ローチョコレートです。カカオバターやカシューナッツ、バニラなどのオーガニック原材料を使用し、ストロベリー、スパイス、マイルド、コーヒー、ハイカカオ、ブルーベリーの6種類のフレーバーがあります。工場があるエストニアはバルト海とフィンランド湾に接する北欧の国で、Skypeの開発や世界初の電子投票を行った電子国家です。

 「トレテスは日本の風土と気候では採れないカカオやデーツ、ココナッツなど、海外に頼らざるを得ないもの、そして、オーガニックで安全性のあるものを日本に紹介したいと考えています。3年前には日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会の会員になり国内の有機食品の普及・拡大に努めています。また遠く離れた国のものを安心して届けるためにも国際標準の有機認証制度は大事だと考えています」と中川さんは話しました。

「トレテス」のシンプルでおしゃれなパッケージはカタログの中でも目を引きます。

Table Vol.467(2022年7月)より
一部修正・加筆

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