インターネットのおかげで、家にいながらにして、行ったことのない遠い国の料理の動画を見ることができるようになりました。巨大な鍋で豪快に作るインド屋台の山羊カレー。トルコのお母さんが作って見せるミートボールのオーブン焼き。哀愁漂う民族音楽をBGMに紹介されるポルトガルの伝統料理タラのポテト焼きの作り方。どれもこれも見ているだけで素敵な香りに包まれ(ているよう気になり)、お口の中はヨダレでいっぱい。言葉がまるでわからなくても、ビジュアルで充分理解できるのが料理の楽しい所です。

 世界の料理動画をたくさん見てふと思ったこと。日本以外ではアクを気にしないの?アク取りするシーンを一度も見ないのです。そこで、気になり始めて調べました。イタリア料理のとあるシェフの本を読むと、基本のトマトソースを作るのに色が悪くなるからアクは取るべからずと書いてある。ではフランス人シェフの本は?こちらはアクについての記載が一切ありません。ならばアメリカの超有名カリスマ主婦のレシピはどうだ?例えばチキンスープ。絶対アクが出るよね~と思いきや、アクのアの字も出てこない。

 そもそも「アク」とは何なのか?「調理用語辞典」によると「食品に含まれる不要な味(中略)、あるいは不快臭、褐変色素など好ましくない成分の総称である。しかし食品固有の味でもあり、すべて除いてしまうことがよいとは限らず…(後略)」と書いてある。つまり一概に体に悪いものとは言えなさそうです。ってことは煮炊きしている時のアク取りは好みの問題!見栄えよく仕上げるためにはやった方がいいし(あ、でもトマトソースは色よくしたければアク取り禁止!?)、ごった煮状態の料理なら、ありのままで~を貫くもよし!肉や魚介類などアクが出がちな材料は、あらかじめ血を除いたり表面の水分をきっちり拭きとっておけばアクや泡が出にくく、クセのある香りも抑えられます。野菜の下ごしらえのアク抜きも、しなくていいこと多々あります。例えば「酢水にさらす」が決まり文句のゴボウやレンコン。醤油色の煮物やキンピラ作るのに、色止めの必要ある??切ると色が変わるのは野菜のポリフェノールが酸素に触れたから。ならば長々と酢水にさらして栄養をロスするのはもったいない!ナスだって同じです。調理する直前に切れば、水にさらして拭く手間も省け、アントシアニンも流出しない。ということで、アクと上手につきあってみませんか?

料理研究家 うの まきこ
日本の伝統食を考える会会員。食品メーカーでアイスクリームなどの新製品開発等に従事したのち、料理研究家古川年巳氏に師事。わかりやすいレシピと、野菜をたっぷり使ったヘルシーで簡単な料理に定評がある。アトピーっ子のための簡単な除去食メニューも得意。コープ自然派奈良前理事長。

Table Vol.402(2019年10月)

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