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くらしと社会

放射能汚染水を海に流さないで!!

福島第一原発敷地内に保管されている放射能汚染水の海洋放出をこの夏に行うことを政府は公表、福島県漁連や全漁連をはじめ、国内外の多くの人たちの反対の声を無視して強行しようとしています。2023年8月4日(金)、コープ自然派・脱原発ネットワークは政府と東京電力に放射能汚染水の海洋放出撤回を求めました。

コープ自然派となのはな生協(千葉県)組合員が内閣総理大臣・経産省・水産庁・東電への「意見書」を提出しました。

汚染水の海洋放出に反対

 福島原発事故後、1日当たり約90トンの放射能汚染水が発生しています。2023年には貯蔵タンクの設置場所が満杯になるとのことで、政府は放射能汚染水をALPS(多核種除去設備)処理し、海へ放出するという方針を明らかにしました。その際には「関係者の理解なしに、いかなる処分も行わない」と文書で約束しています。

 コープ自然派は放射能汚染水を海洋放出することに反対し、2019年12月16日には1万3813筆の署名を政府と東電に提出。また、今年6月23日にも「意見書」を提出しています。

参議院議員・山本太郎事務所の尽力でこの機会を得ました。意見交換で山本議員(右)は視点を明確にする質問や具体的な要求を投げかけました。

問題山積の放射能汚染水

 今回は事前に「意見書」を提出し、担当者と意見交換しました。「ALPS処理しても放射性物質が残る」と東電が発表したのは2021年4月13日でした。また、「ALPS処理水」にはトリチウム以外の放射性物質が含まれていることが判明しています。そこで、「ALPS処理水」の定義と内容を明らかにし、今後の処理計画について情報公開することを求めました。

 政府と東電は「処理水に含まれるトリチウム濃度は基準値以下で海外でも放出している」「トリチウムの放射線は微弱で無視できる」と説明しています。しかし、微弱とはいえ体内に取り込まれると「有機結合型トリチウム」という化合物となってDNAを損傷する恐れがあります。また、低線量被ばくの健康被害の議論は決着していません。希釈しても放射性物質の総量は変わりません。そこで、トリチウムとそれ以外の核種の毒性および食物連鎖による生体濃縮の毒性に関する見解を求めました。海外でも放出しているという説明については、いずれも原発事故が発生していない施設で、燃料デブリに直接触れた水を放出している例は海外にもありません。

 4月13日現在、汚染水タンクは設置場所の97%を占めるとのことですが、本当に設置場所はないのか、福島第二原発など他の設置場所を検討したかどうか、さらに海洋放出以外の代替案を検討したかどうかについても回答を求めました。

 意見交換の過程で問題とされたのは、2013年までに放出された汚染水の量を政府も東電も把握していないことでした。今回、海洋放出するならそれに加算されることになります。水産庁が行ってきた海産物の放射能検査は、セシウムが国の基準値100ベクレル毎キログラム以下かどうかで、消費者の要望で始めたというストロンチウム検査は2011年から2023年で330検体のみだということが明らかになりました。

 「関係者の理解なしに、いかなる処分も行わない」という約束について、「漁協が反対なら放出しないのか」と確認すると、「理解はそれぞれ異なる」「引き続き対応する」などと曖昧な答弁に終始しました。

同行したフリージャーナリスト・守田敏也さん(右)は、食の安全と環境を守ることへの強い意志を水産庁に訴えました。

要望や強い意志を伝える

 最後に一人ひとりが思いを伝えました。「回収する方法も無害にする方法もない放射性物質を海に放出しないで」「最初から海洋放出ありきで曖昧な答弁が多く、ますます不安になった」「セシウム110ベクレル毎キログラム以下とは福島原発事故後の基準値なので高すぎる」「風評被害ではなく実害だ」「私たちの背後には同じ思いの消費者が多数いることを忘れないで」「水産庁は安全な食を守るために検査の徹底を行うよう政府に働きかけてほしい」「放射能汚染水の海洋放出は人権問題として世界から問われる」

Table Vol.493(2023年9月)

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