2022年11月20日(日)、「第11回 さようなら原発1000人集会」がいたみホール(兵庫県伊丹市)にて開催されました。
この集会はコープ自然派兵庫も呼びかけ・賛同団体となっています。
原発安全神話の崩壊
政府は電力不足やCO2削減を理由に原発再稼働や新型原発導入を推進。このような動きに抗して本集会
が開催されました。まず、今中哲二さん(京都大学複合原子力科学研究所研究員)の講演。今中さんが原子力開発のうさんくささに気づいたのは大学院時代。原発は「絶対安全」と宣伝されながらカネと力でむりやり田舎に建設されていたからです。1976年に京都大学原子炉実験所に就職、伊方原発訴訟に関わって学んだことは、「判決は国側を勝たせる八百長のようで、国側証人の先生方は原告弁護士の反対尋問に返答できずお粗末だった」こと。1979年のスリーマイル島原発事故で原発の安全神話は崩壊。1986年にはチェルノブイリ原発事故が起き、原発事故が起きれば、家を追われ、村や町がなくなり、地域社会が丸ごと消滅することがわかりました。
原発再稼働はやめるべき
そして、2011年3月11日、福島原発事故が起きてしまいました。「きっかけは地震・津波でしたが、人災だった」と今中さん。私たちはこれから50年から100年にわたって放射能汚染と向き合わざるを得なくなりました。「放射能との向き合い方は自分で判断するしかなく、それをお手伝いするのが自分の役割だ」と今中さん。一方、「国や自治体は被災者を汚染地に無理やり戻す政策を進めていますが、国や東京電力は被災者がどのような選択をしようとその選択を支援する責任がある」と今中さんは言います。
そして、「事故が起きれば、周りに人が住めなくなるようなものまで使って電気をつくる必要はあるのか。そもそも地震だらけの日本にこんなに原発をつくったことは間違っている。間違いを素直に認めて原発の再稼働はやめるべき。原発の危険性と放射性廃棄物の厄介を考えるとエネルギー源として原子力を利用すべきではない」と今中さんは訴えました。
取材し発信し続けたい!!
続いて、おしどりマコ・ケンさんの講演。2011年から2人は東京電力の記者会見に参加しています。マコ・ケンさんは福島農民連の闘いを取り上げました。農民連の人たちは自分たちの被ばくの責任を追及し続けていますが、政府は農作物の安全性を守る研究はしても農家の被ばくは自己責任だとしています。2011年、土壌にカリウムをまくことを指示され、農作物に含まれるセシウムは減少しました。しかし、土にはセシウムが残留し2012年から農民連の政府交渉が始まりました。空間線量ではなく土の表面の放射線量を測定してほしいと要望していますが聞き入れられず、マスメディアはまったく取り上げていません。
強制避難解除に際して農家に説明会が行われ、マコ・ケンさんは川俣町の説明会を取材。農地は除染されても自宅から農地への道は線量が高いことについて質問する人に対して、「できるだけ早く駆け抜け、できるだけ息を止めてください」と政府は回答。農作業をするときは長袖・長ズボンを着け、1階の窓のない部屋で過ごすようになどの説明が行われました。
福島原発事故において広告会社「電通」に多くの予算が下りたことが情報公開請求でわかりました。マスメディアだけでなく農林水産部でも電通がさまざまなレクチャーをしていました。「芸人が原発の取材をするのは圧力もありますが、私たちは取材し続け、世の中を変えていきたいです」とマコ・ケンさんは元気に話しました。
Vol.479(2023年1月)より
一部修正