2022年5月22日(日)、コープ自然派兵庫の組合員サークル「ぽっとらっく」はコープ自然派兵庫の新しい拠点「つどうスペースめぐる」にて、モリンガを使ってアフリカと日本で村おこしをしている藤井千江美さんと「奥ものリンガつむぐ会」の方々にオンラインでお話を聴きました。
モリンガ野菜農園を設立
葉や実に高い栄養価を持つモリンガは、アフリカ・ブルキナファソでは「アルザン・ティガ(天国の木)」と呼ばれ、古くから地元の人々にも親しまれていました。葉には豊富な栄養成分が含まれ、種による水の浄化作用もあり、モリンガと一緒に栽培された野菜の増産効用もあります。そこで藤井さんは、ブルキナファソで地元の人たちと一緒に、このスーパーフード・モリンガの野菜農園づくりを始めました。そして、数々の困難の後、今では地元の人たちだけでもモリンガ栽培やモリンガ商品(茶葉、ティーバッグ、モリンガパウダー、オイルなど)の製造が可能になり、常勤の女性5名の雇用も可能になったということです。
シオラレオネでは、モリンガによる子どもの栄養改善プロジェクトが進んでいます。日本のNPO法人HANDSのもとで、地元NGOと協力して10ヵ所の小学校でモリンガ・スクールガーデンを設立。子どもたちが水やりし、収穫したモリンガは2019年9月から給食で食べられるようになりました。2022年4月からは、3年計画でスクールガーデンと接して、母親支援グループによる「モリンガ野菜農園」を設立。収穫できたモリンガ葉を粉末にし、学校給食に提供したり、母親支援グループから地域女性にモリンガ料理や栄養についての知識の普及に取り組みます。コロナ禍で藤井さんがアフリカに行けなくなった昨年からは、現地NGOの自立がより進んでいるとのこと。最終的に目ざしているのは農村部における持続可能な地域住民の健康増進に向けた「しくみ」づくりですと藤井さんは話しました。
高知県物部町での出会い
コロナ禍でアフリカに行けなくなった藤井さんですが、モリンガを介した活動は日本でも続きます。教鞭をとることになった高知に移住して、奥物部ふるさと市(物部町の地場産品の販売や観光地の案内、情報提供などを行う店)でたまたま出会った高知県香美市物部町の元気な5人組と意気投合!物部町は林業の衰退で人口が減少し、固有の歴史や文化の継承が難しくなっています。そこで、地域を活性化して雇用を生み出したいとの願いはアフリカも高知も同じということで、「奥ものリンガつむぐ会」(物部町で柚子とモリンガを使って人と人、人と物、人と地域を紡いでいこうという会)が結成され藤井さんもメンバーに加わりました。実は物部町は青果柚子(玉出し)出荷量が日本一なのです。日本一の青果柚子の維持と継承者の育成を目ざしながら、柚子とモリンガを使った加工品の試作・製造・販売や国内ツアーの企画・運営を予定しています。それぞれ仕事を持ちながら、特技を生かして活動されていることが、明るくパワフルなお話からうかがえました。モリンガとおからを使ったペットフードやモリンガと柚子のコラボ商品も開発中で今後の発展が楽しみです。
栄養豊かなモリンガ
コープ自然派でも取り扱いが始まったモリンガティーとモリンガパウダー。ビタミンAやE、カルシウム、鉄分が豊富です。飲み終わったティーバッグの茶葉も捨てるのはもったいないと高知のみなさんが佃煮づくりを実演、神戸元町の「めぐる」と物部町でそれぞれモリンガパウダーを使ったデザートもつくりました。ヨーグルトとモリンガパウダーとメープルシロップを混ぜてゼラチンで固めるだけのデザートなら子どもたちでもつくれそうです。納豆にモリンガパウダーとオメガ3の亜麻仁油を入れて食べているという超スーパーフードの紹介もありました。
Table Vol.468(2022年7月)より
一部修正・加筆