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生産者訪問・商品学習会

海産&酪農アンバサダーin三重県① 持続可能な漁業を目ざして~みえぎょれん販売~

2022年10月20日(木)〜21日(金)、コープ自然派事業連合商品委員会は伊勢湾・英虞湾・熊野灘周辺の生産者を訪問するツアーを開催、みえぎょれん販売(伊勢市)では、工場見学、MEL認証や環境の取り組みについて学びました。

家族全員が海苔に関係する仕事に就き“海苔のサラブレッド”の愛称で親しまれる、みえぎょれん販売株式会社営業部営業課・木下さん。

焼き海苔・あおさのり

 1970年、みえぎょれん販売は三重県漁業協同組合連合会100%出資の子会社として設立され、三重県下で生産される海藻類を中心に水産物の加工販売を行っています。

 三重県は海と山に恵まれ、約1000㎞の長い海岸線に面した水産業が盛んな地域です。伊勢湾地区では、山から河川を通じた栄養の供給と遠浅で平穏な漁場環境を活かし、湾内の沿岸一帯で黒海苔の養殖漁業が行われています。養殖した「黒海苔」は夜明け前に摘み取り作業を行い、工場で洗浄後、小さく刻んで「乾海苔」(板海苔)を製造。「乾海苔」になった三重県内の海苔はすべて海苔流通センターに集められて入札が行われます。みえぎょれん販売では県内生産量の約25%を買い付け、本社加工工場で「焼き海苔」に加工。一行は本社加工工場で「焼き海苔」の加工・袋詰めラインを見学しました。「乾のり」を約80℃で乾燥(焼きの工程)させて「自然派Style三重県伊勢湾産徳用焼のり」が完成、調味液を染み込ませたスポンジに「焼き海苔」を挟んで味を付けると「味付け海苔」ができ上がります。深刻な人手不足から機械化が進んでいますが、微妙な焼き加減は職人の目によって仕上げられるということです。

 三重県のあおさのりの生産量は約400〜500トン、全国の60%以上を占める日本一の生産地です。三重県のリアス式海岸は、穏やかな内湾性の海域を好むあおさのりにとって絶好の環境で、松阪市から鳥羽市、志摩市、紀北町まで、県内の広い範囲が養殖場となっています。1月から4月頃までの期間にあおさのりが海苔網を緑色に染め上げる光景は「青い絨毯」と表現され、日光と海の栄養が高品質で濃い緑色のあおさを育てるとのこと。あおさはゴミが絡みやすく、市販品は調理前に水洗いが必要ですが、みえぎょれん販売の「三重県産あおさのり」は99%まで異物を取り除く作業を行っているので水洗い不要です。

自然派Style三重県伊勢湾産徳用焼のり(左)・三重県産あおさのり(右)
工場ラインでは海苔供給機、金属探知機、異物検出機、乾燥剤と海苔を同時に入れてパックする機械などがフル稼働していました。海苔は匂いが移りやすいため香水・柔軟剤は厳禁です。

持続可能なMEL認証

 わかめは2〜4月しか収穫できないため、天日干しや塩漬けなどの方法で保存されるようになりました。2mほどまで育ったわかめは港に水揚げ後、めかぶと茎を取り除き、海水を使って釜茹でします。湯気がもくもく立ち上り、港中に潮の香りが広がる茹で上げの様子は冬の風物詩です。その後、加工場で塩漬けにして2日間寝かせた後、塩分と水分を切り、塩蔵ワカメの状態で入札会に出します。

 「自然派Style三重県鳥羽産カットわかめ」は、伊勢湾最大の離島である答志島の和具浦漁港で水揚げされた養殖わかめを使用したMEL(マリン・エコラベル・ジャパン)認証取得商品です。MELは資源保護に配慮した水産物を認証するもので、生態系を守り、水産業や魚食文化の持続的な発展につなげることを目ざしています。和具浦産のわかめは、2019年7月に日本で初めて海藻のMEL認証を取得しました。廃棄物の管理と処分、水産環境(水質)の確認、定期的な海底汚泥の調査の実施、漁師の労働条件や安全衛生管理、労働時間の管理などワークライフバランスにも配慮しています。「MEL認証維持には養殖作業に加え12項目におよぶ記録作業があり大変な手間がかかりますが、高品質のわかめを届けるために一所懸命に取り組んでいます。生産者の思いを商品とともに消費者に届けることは私たちの使命です。MEL認証マーク付きの商品を買っていただくことで、資源・水産物・水産業、それらに関わる人たちの環境も相乗効果で良くなります」とみえぎょれん販売・木下さんは話しました。

 伊勢湾は水質日本一の清流である宮川や木曽三川などから山の栄養が流れ込みます。この山の恵を受け継いでいくために、1997年から「三重県漁民の森造成事業」が行われ、三重県の山林に苗木7880本、岐阜県の森林組合と協同し岐阜県の山林に苗木2万2800本が植えられました。また、「海の日」には県下一斉の海浜清掃が実施されています。

自然派Style三重県鳥羽産カットわかめ
コープ自然派事業連合商品委員会・正橋委員長(コープ自然派兵庫理事長)。今年度、連合商品委員会では海の環境や漁業文化を守るために水産の取り組みをすすめています。

海産&酪農アンバサダーin三重県の記事一覧はこちら>>

Table Vol.478(2022年12月)より
一部修正・加筆

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