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食と農と環境

各地で広がるオーガニックへの取り組み

今、世界ではオーガニックへの流れが加速し、日本でもオーガニックを広げようという取り組みが進められています。
2022年10月8日(土)、兵庫県三田市では「さんだオーガニックフォーラム」(さんだオーガニックアクション主催)が開催され、映画「食の安全を守る人々」上映、山田正彦さん講演とともに学校給食についてパネルディスカッションが行われました。

全国各地で上映会開催

 映画「食の安全を守る人々」は、「種子法」廃止、「種苗法」改訂、残留農薬基準の緩和、表示なしのゲノム編集食品流通、そして、急速なグローバル化など食と農の危機に対して持続可能な食と農を求めて闘う人たちを撮影したドキュメンタリー映画です。プロデューサーは弁護士で元農水大臣の山田正彦さん、監督は原村政樹さん。アメリカでモンサント社を訴えた男性や子どもたちの食を守るために闘う母親たち、韓国の小学校で広がるオーガニック給食の現状についても取材・撮影されたこの映画は現在、全国各地で上映会が行われ、大きな反響を呼んでいます。

あきらめず追求しよう

 上映後に行われた山田正彦さんの講演では、世界の流れを一変させたアメリカの司法の判断について紹介。除草剤ラウンドアップの主成分であるグリホサートによってがんを発病したことでサンフランシスコの陪審はモンサント社に2億8020万ドル(約320億円)の支払いを命じました(2018年)。その後、1万3000件(2019年)以上の訴訟が起きています。また、アメリカの1人の母親であるゼン・ハニーカットさんは次男の体験をもとに農薬や化学肥料を使わず、有機栽培で育てられた食品を使うよう行動し共感の輪が全米に広がりました。

 EUではネオニコチノイド系農薬は禁止されましたが、日本では残留基準を緩和、ゲノム編集食品が表示なしで流通されています。2018年4月1日、主要農作物種子法(以下、種子法)が廃止されました。「種子法」は戦後の食糧難などの背景から制定されましたが、政府は現代においてその役割を終えているとして、「主要農作物種子法を廃止する法律」を成立させました。種子法廃止の理由のひとつとして種子生産への民間企業の参入を促すためという理由が挙げられていますが、背景にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)やRCEP(東アジア地域包括的経済連携)などグローバル化を推進している状況があります。これに対して、2018年、新潟県を皮切りに全国各地で「主要農作物種子条例」が自治体により制定されています。

 また、学校給食をオーガニックにという動きも生まれ、千葉県いすみ市などが紹介されました。「正しいと信じることはあきらめずに追求し続ければ必ずこの国を変えていくことができます。世界の潮流はすでに変わっているのですから」と山田さんは訴えました。

給食をオーガニックに

 パネルディスカッション「学校給食をオーガニックに」では、コープ自然派兵庫・正橋理事長がパネラーの1人としてコープ自然派兵庫の取り組みを紹介。コープ自然派兵庫では、現在、3つの給食チーム(神戸・明石・阪神間)が結成され、行政と話し合ったり、学習会を開催しています。芦屋市では週1回、有機タマネギを導入、宝塚市では1週間分の有機タマネギ・ジャガイモが導入されています。正橋さんは自身の体験から学校や行政に交渉するには仲間をつくることが大切だと話します。そして、「コープ自然派は食を選ぶことで社会を変えようと提唱しています。また、くらしは政治とつながっているという視点でまずは地産地消を基本に、子どもが地域のものを食べ地域を知ることが第一歩、農家の方たちも子どもたちと交流することで安全なものを食べさせたいと思うようになるのではないでしょうか」と話しました。

自身の体験も踏まえて学校給食への取り組みについて話すコープ自然派兵庫・正橋理事長。

Table Vol.477(2022年12月)より
一部修正・加筆

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