2025年3月1〜2日、全国のGMOフリーをめざす人たちがゲノム編集を積極的に推進している愛媛県に集まり「第19回GMOフリーゾーン運動全国交流集会inえひめ」を開催。食べものと環境を考える2日間にわたるプログラムがコープ自然派主催で行われました。後編では2日目のオプショナルツアー[無茶々園・伊方原発視察]の様子をお届けします。

無茶々園訪問
現在愛媛県では、温州みかんの新品種をゲノム編集によって開発しようとしています。そこで、ゲノム編集を行わないみかん圃場の見学として無茶々園を訪れました。
設立50年を迎える愛媛県西予市の無茶々園。以前、この地域では山の上まで続く急斜面の段々畑で麦や芋、蚕を育て九州へ売っていましたが、1961年、みかんの生産を始めました。「儲けも必要ですが、それよりも楽しい生きがいのある農業、売り手と買い手が五分五分の関係、生協との取引で産直の仕組みを確立することで、自立した地域を目指して活動を続けています」と大津さんは話します。
海を臨む急勾配の畑の下にはポンカン、石垣の段々畑には温州みかんが育っていました。海風のミネラルが味を良くするそうです。しかし、海風には強いみかんでも、海水が巻き上がると葉が枯れてしまうこともあるそうです。「大変なことは多いですが、この歴史ある石垣の畑を守っていきたい」と語りました。

伊方原発を訪れて
ゲノム編集とともに生産地の食・農・環境に大きな影響を与える原発について考えるために、愛媛県西宇和郡にある伊方原発を訪れました。
薦田伸夫さんは弁護士をやめて地元へ戻り農業をしていましたが、3・11の福島原発事故を目の当たりにし、伊方原発でも同じような被害の可能性があることから、再び弁護士として裁判で闘うべく奔走し始めました。伊方原発1・2号機は廃炉が決定していますが、現在稼働している3号機は加圧水型軽水炉で、1日稼働すると広島原爆2発分の放射性物質を生み出すそうです。
伊方原発裁判の2つの争点
伊方原発の問題点は、地震や火山噴火時の安全性と、避難計画の実効性の2つです。伊方町の沖合にある「中央構造線活断層」の位置について、四国電力は原発から 8kmのところに真下に伸びているとしていますが、実際には伊方原発のある南側に伸びており、その端から伊方原発まで5kmしかないそうです。「福島原発は震源地から離れていたので原子炉に制御棒が入りましたが、伊方では地震を感知してからたったの2.2 秒しかなく、きちんと制御棒が落ちる前に本震が来てしまいます」と薦田さん。
原発周辺には約5000人が住んでいます。海岸近くから安全な地点までの避難は難しく、また、伊方原発のある佐田岬半島は土砂災害の危険箇所が多く、唯一の国道が土砂に埋もれる可能性もあります。実際の避難は非常に困難ですが、四国電力は「毎年の避難訓練で改善が行われており、避難時は臨機応変に対応する」と住民の訴えに反論しています。
全国交流集会inえひめを終えて
参加者たちは、「食の安全を守るために日本や海外でも活動していることを知り心強く、今後の活動の励みにしたい」「生産者とともに社会のあり方を変えていきたい」と語りました。
Table Vol.513(2025年5月)