2022年5月28日(土)、コープ自然派おおさか(ビジョンめぐるA主催)はパーマカルチャーデザイナー・四井真治さんを講師に迎え、都会に住む私たちでもできる、持続可能な暮らし方について聴きました。

パーマカルチャーデザイナー・四井真治さん。著書「地球のくらしの絵本 全5巻」(農文協)は、持続可能な暮らしをつくる知恵や技をわかりやすく紹介しています。

パーマカルチャーの視点

 パーマカルチャーとは、パーマネント(永久の)とアグリカルチャー(農業)、そして文化(カルチャー)を組み合わせた言葉で、永続的な農業をもとに永続的な文化を築いていくためのデザイン手法です。オーストラリアでは国家資格として、また世界各国のNGOは発展途上国に持続可能な開発として推進するなど、海外で普及しています。

 四井さんは福岡県の自然豊かな環境で育ち、大きな池で魚を捕まえたり、森でツリーハウスをつくるなどして毎日遊んでいたそうです。しかし、豊かだった自然が都市開発によって少しずつ様変わりしていくのを目の当たりにし、自然破壊や環境問題への意識が芽生えました。その後、信州大学農学部森林科学科に進学し、緑化工学(森づくりや自然の再生)を学びます。また、花壇でハーブ栽培を始め、生ごみで土づくりを行って増やすことに成功。暮らしのなかで循環する仕組みをつくり、食べものが得られることを実感します。

 2005年、四井さんは愛知県で開催された「愛・地球博」でオーガニックレストランのデザイン・施工指導を担当。125席あるレストランから出る生ごみはわずか4つの「みみずコンポスト」で堆肥化し、排水は溝に砂利を敷き詰めたバイオジオフィルター(自然浄化装置)に取り込んでビオトープに流して循環の仕組みをつくりました。そして、「愛・地球博」をきっかけに「有機農業」と「森をつくる技術」、さらに「暮らし」を掛け合わせたパーマカルチャーデザイナーとしての仕事が始まりました。

いのちの移り変わり

 地球環境を守るために何か特別なことをしようとしてもなかなか長続きしません。パーマカルチャーを実践するには、循環の仕組みをつくるだけではなく、人が暮らすことで同時に新しい持続可能な仕組みが駆動するようデザインをすることが大切です。

 四井さんは、山梨県北杜市(八ヶ岳南麓)の古民家で、社会の最小単位である家族(妻と子ども2人)だけでどこまで持続可能な暮らしが実現できるのか、生活実験をしています。堆肥小屋をつくり、そこで落ち葉や生ごみ、排泄物などを積み重ねて堆肥にしています。死んだ野鳥や虫などもここに埋め、家族の一員としてともに暮らしたヤギのキューちゃんもこの堆肥小屋に埋葬しました。埋葬したところにウジがわき、それをにわとりが食べ、みみずなどが分解し、キューちゃんは土に還りました。家族で泣きましたが、還った土を畑にまき、それが作物や木、虫や小鳥など敷地にいるすべての生きものにつながっていると思うと悲しみが和らいだそうです。現代の私たちは亡骸や生ごみを燃やして二酸化炭素を排出しています。しかし地球上の生物は本来、土に還すことが命の仕組みであり、究極の持続可能だと言えます。

 四井家ではコンポストトイレや130年前につくられた染付の小便器と銅板でトイレを自作し、家族の排泄物も堆肥にします。都会の生活は下水道のインフラが発達し、生活排水は下水道から下水処理場、川、そして海へと流れていきます。下水管は地下に張り巡らされ、これらを維持する費用は軽視できません。

都会生活者にできること

 四井さんは都会に住む私たちに、生ごみの堆肥化から体験することをすすめます。いい堆肥づくりは炭素と窒素のバランスが大切、できた堆肥は農家と提携して引き取ってもらい、作物を提供してもらうという形で循環できます。また、農家に投資し、定期的に作物を受け取る「CSA」( コミュニティサポーティッドアグリカルチャー・地域支援型農業)という方法もあります。

 「子どもが小さいうちは、地方に移住することをすすめます。自然から受ける刺激の質と量は人知を越え、子どもたちが手伝いを通して学んだ技術は教育のベースとなり、文化を継承することになります。移住が難しいなら農作業を手伝う援農や、友人や親族が住む地方とつながることから始めてみてはどうでしょう」と四井さんは話しました。

進行役のコープ自然派おおさか・上野綾香さんは、微生物のチカラで生ごみを処理する「キエーロ」の普及にも取り組んでいます。

 Vol.471(2022年9月)より
一部修正・加筆