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生産者訪問・商品学習会

環境にやさしい暮らしの提案

2021年1月20日(水)、コープ自然派奈良は生活アートクラブ代表取締役・富士村さんを講師に、オンライン学習会を開催。持続可能な暮らしに寄り添う生活雑貨の紹介と、一歩進んだ環境保全への取り組みについてお話を聴きました。

(有)生活アートクラブ代表取締役・富士村さん。目先の利益にとらわれることなく、環境保全の取り組みを日常的に進める視点と未来志向への熱い想いを話します。

天然の資源、青森ひば

 青森ひばは、秋田スギ、木曽ヒノキと並ぶ日本三大美林のひとつで、天然の国有林として年間で調整伐採されています。主に青森県の下北半島や津軽半島に生育し、富士村さんが紹介する画像からは樹齢300年を超えるまっすぐ伸びた青森ひばの神秘的な様子が伝わってきました。東北では古くから、青森ひばを蚊殺しの木と呼び、家を建てると3年間は蚊が1匹も入ってこないという言い伝えがあります。さらに、精油は天然の抗生物質であるヒノキチオールを含有し、カビや細菌を寄せつけない抗菌効果が再注目されています。青森ひばでつくられた中尊寺金色堂は、建立から700年以上経った今も木が腐らず、建て替えていません。

 まな板やすのこ、箸、精油、防虫用品など、青森ひばの特徴を活かした商品が多数あります。なかでも、「青森ひばチップ」は消臭・防虫・カビ予防に靴箱やクローゼットに入れて、また、天然の入浴剤として木の香りを楽しめます。手入れ不要で約2ヵ月、精油を垂らして何度でも使えるということです。

竹を活用して環境保全

 近年、放置された竹やぶによる「竹害」が深刻な問題になっています。戦後、タケノコの栽培や竹材の生産が盛んになり多くの竹が植えられましたが、安価なタケノコや竹材の輸入、プラスチック製品の普及、農家の高齢化による担い手不足などが原因の利用減で爆発的に繁殖しました。そこで、生活アートクラブは竹を紙として有効活用することを考案、竹パルプを15%配合したオリジナル印刷用紙「にっぽんの竹紙15」を自社企画制作チラシとして配布を始めます。環境を育てる竹紙を積極的に導入し、あえて川内原子力発電所(鹿児島県)の近くに活動拠点を置くことで環境問題を提起・発信。竹林面積全国1位の鹿児島県では、薩摩町の補助金支援で伐採された竹の買い取りが行われ、年間2万トンの竹を竹紙に利用しています。

コープ自然派でも配布している生活アートクラブのチラシはオリジナルの竹紙が使用されています。

日用品を脱プラスチック

 プラスチック製品であふれるキッチン周り、生活アートクラブは少し目先を変えてプラスチックフリー実現に向けて提案しています。キッチンスポンジはクマザサと和紙が原料の「SASA・WASH」に、クマザサは笹の一種で抗菌性が高く、和紙は丈夫で吸水・吸油力が抜群。北海道留辺蘂(るべしべ)町で製造されている「CookingWoodSheet」経木(きょうぎ)は、ラップの代わりに刺身や肉などを巻いて保存すると、ドリップや水分を程よく吸収して鮮度を保ちます。弁当にのせるとご飯が冷めても美味しく、木の香りが食欲をそそるため、某有名シュウマイ弁当に採用されているとのこと。落し蓋やクッキングシートとしても万能で、ナチュラルな雰囲気が演出できるのも魅力です。「オーガニックコットン未晒し木綿2m」は薄くて早く乾き、好きなサイズに裂いて繰り返し使うことができます。ラップやキッチンペーパー、ふきんなどの代わりに、ごはんを包んで冷凍・解凍など使い方は多種多様。「簡便な生活に慣れた現代人にとって、伝統的な日本人の生活の知恵はスマートで新しく格好良い生活スタイルなのかもしれません」と富士村さんは話します。

 また、オーガニックコットン製品をはじめ商品の一部に紙の透明袋を包装用に採用し、100%プラスチックフリーを実現。製品自体が社会への問題提起であり、生活アートクラブは環境的な視点を入れることに常に注力しています。「売れるものを売るのではなく、売らなくてはならないものを売ります」と富士村さんは話しました。

Table Vol.439(2021年5月)より
一部修正・加筆

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