2024年9月24日、コープ自然派おおさか(京阪ブロック)では、日本ケニア交友会の富塚比咲子さんを招き、ケニアでの紅茶栽培や日本ケニア交友会の取り組みについて聞きました。
ケニア共和国のこと
日本ケニア交友会は、ケニアのナイロビに本部を置いて紅茶の買い付けや支援活動を行っています。「フェアトレード」という言葉がまだ一般的ではなかった30年以上前から、ケニアの紅茶を日本で販売してきました。
ケニア共和国の紅茶の生産量はインドに次いで世界第二位、輸出量は第一位です。イギリスの植民地だったケニアでは、イギリス人が飲むために持ち込んだ苗木をきっかけに紅茶の栽培が始まりました。1963年にイギリスから独立し、それまで自由にできなかった紅茶栽培を小規模の農家にも奨励するために国営会社を設立。その後、民営化された中の一つが日本ケニア交友会が紅茶を買い付けている「ギドンゴ製茶工場」です。小規模の農家が全員で製茶工場を共有し(農家全員が株主)、女性が茶畑を所有しているのも特徴の一つ。夫婦であっても妻と夫それぞれが茶畑を所有することで、女性も収入を得て自立することができます。
ケニア山の紅茶
イラストのパッケージが目を引く「ケニア山の紅茶」は、アフリカ大陸で2番目に高いケニア山のふもとで栽培されています。赤道直下の標高1500m〜2000mの高原地帯は、湿気が少なく、朝晩は冷え込み、昼間は太陽がふりそそぐ紅茶の栽培に適した気候。ミネラル豊富な赤土がおいしい紅茶の茶葉を育てます。
ギドンゴ地区では毎日、約5500戸の生産者が手摘みで茶葉を収穫しています。製茶工場へ運んだ茶葉は細かくカットする製法で仕上げますが、この製法により、抽出に時間がかからずにすぐに飲め、どっしりとしたコクのある味に仕上がります。
品質管理も徹底しています。製茶工場では、1時間に1回品質をチェック。紅茶の茶木は農薬を使わずに育てていますが、毎年1回、200種類にも及ぶ農薬検査を行い、すべて不検出であることを確認しています。富塚さんは「まずは生産者自身を農薬の危険から守りたい」と話しました。
おいしいチャイを作ろう
この日は、おいしいスパイスチャイのつくり方も教わりました。まずはスパイス(シナモン、カルダモン、クローブ)を細かく砕きます。生姜は皮のまますりおろして。スパイスの新鮮な香りが部屋中に広がります。「苦手でなければ、砂糖と生姜を多めに入れるのがおすすめです」と富塚さん。水とスパイスを鍋に入れて火にかけ、沸騰したら茶葉を入れ、火を止め抽出します。牛乳と砂糖を加えて再び火にかけて温めれば出来上がりです。ケニアのお菓子と一緒に食べると、会場のあちこちから「おいしい」の声が上がります。それぞれのグループで味に違いもあり、飲み比べを楽しむ参加者も。
いつでもティータイム
ケニアでは、Anytime is teatime.という言葉がよく使われます。紅茶は少し気取った印象を持たれることもありますが、気軽に淹れてもおいしく飲めるのが魅力。水出し、ストレートティー、ミルクティー、チャイと、飲み方を変えることでいつでもティータイムを楽しめます。この日は常温で3~4時間抽出した水出し紅茶を試飲しましたが、甘みのあるさっぱりとした味は毎日飲みたくなるおいしさでした。
日本ケニア交友会では、貧しくて高校へ進学ができない子どもたちへの奨学金プログラムを行っています。「紅茶を買うことで、生産者、そして子どもたちの支援につながります。ぜひ普段使いの紅茶として『ケニア山の紅茶』を選んでいただけると嬉しいです」と富塚さんは締めくくりました。
Table Vol.508(2024年12月)