2021年9月30日(木)、コープ自然派兵庫(ビジョン平和主催)は「シャプラニール=市民による海外協力の会」・髙階悠輔さんを招いてオンラインイベントを開催、シャプラニールは、主に南アジアの人々を支援する国際協力NGOです。

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取り残された人々を支援

 シャプラニールは、「すべての人々がもつ豊かな可能性が開花する社会」を目ざして、バングラデシュ、ネパール、日本で活動。行政や巨大NGOなど社会や他の援助団体から支援を受けられない女性や子ども、高齢者、少数民族など「取り残された人々」を対象に、「子どもの権利を守る」「災害に強い地域をつくる」「フェアトレードを通じ共生できる社会をつくる」取り組みを行っています。

 物品寄付活動「ステナイ生活」では、書き損じハガキや古本、CDなどを集め、国内で換金して支援に活かしています。コープ自然派では兵庫・おおさか・京都・奈良が「ステナイ生活キャンペーン」を毎年行い、兵庫からは今年670件の協力が得られました(最終金額100万円を超えることが予想)。物品の仕分けや計数はボランティアスタッフの力を借りて行い、緊急事態宣言中は自宅で作業が続けられました。

児童労働がない社会へ

 シャプラニールは児童労働をなくすことをミッションの1つに掲げています。児童労働とは、「14歳未満の子どもたちの教育を妨げる労働、また18歳未満の子どもによる危険で有害な労働」と国連で定義。世界中で約1.6億人の子どもたちが児童労働の状況下にあり、近年、減少傾向にありましたが、2020年3月の調査で増加に転じました。新型コロナの影響でさらに増加することが予想され、何も対策を講じなければ2022年末までに800万~900万人増えると試算されています。

 ネパールは18歳未満の人口707万人のうち207万人の子どもたちが児童労働を強いられています。そこで、4月からシャプラニールは「マクワンプール郡(都市部への児童の送り出し地域)児童労働削減事業」を開始し、地方行政と連携して情報収集やハイリスク児童保護のためのガイドラインの策定、個別支援などを実施しています。

 児童労働が起きる背景には、働かせる保護者と雇う大人たちの存在があります。経済的理由だけでなく、男の子の教育が優先され、保護者の認識不足や貧しい子どもを助けていると考える雇い主も多く、大人の意識と社会全体を変えていかなければ児童労働はなくなりません。

 家事使用人として働く少女たちは9歳~18歳くらいが中心ですが、家の中の仕事は人の目に触れないため統計をとることが難しく、実際には5歳くらいから多数の子どもたちが働いていると言われています。「SDGsの達成目標年は2030年ですが、児童労働撤廃に関しては2025年が期限です。NGOや国際機関などによる活動だけでなく、私たち一人ひとりが声をあげなければ解決できない問題になっています」と髙階さんは話します。

フェアトレードで支援

 クラフトリンクはバングラデシュとネパールの女性たちによる手工芸品の生産・販売を行うシャプラニールのフェアトレード・ブランドです。参加者の自宅に事前に届けられたクラフトリンクの「太陽とヒマラヤの恵み・香るチャイマサラ」を使って、チャイづくりを行いました。チャイは南アジアや中央アジアで広く飲まれているミルクティーで、ネパールでは1日中何度も飲みます。路上などあらゆる場所で販売され、知らない人にもごちそうする習慣があり、チャイは人と人を結びつける大切な飲み物です。マサラはスパイスセットという意味で、「太陽とヒマラヤの恵み・香るチャイマサラ」は、シナモン、ショウガ、ブラックカルダモン、シナモンリーフ、ジュナール(ネパール特産のスイートオレンジの一種の果皮)などネパールの身近な素材を使っています。フェアトレード認証は一次産品(加工されていないもの)が主な対象のため、チャイマサラに認証マークはありませんが、フェアトレードで有機・無農薬原材料を使った商品です。

 新型コロナウイルス感染症の影響でバングラデシュでは4月5日からロックダウンが実施され教育機関を含むすべての行政機関が閉鎖、家事使用人として働く少女たちはシャプラニールの支援センターで学習が続けられなくなりました。現地スタッフは電話によるフォローアップや宿題学習、近隣家庭や集会所を利用したホームスクーリングなどを続けました。現在は制限付きながらもセンターの運営を再開しています。

 8月、ネパールでシングルマザーや障がいをもつ女性による生産者団体WSDO(Women’s Skills Development Organization)で緊急支援活動を実施。緊急救援募金50万円が集まり、食糧や消毒薬などの生活物資や家賃補助金が届けられました。

 日本国内では東日本大震災当時からいわき市で支援活動を続け、今年はオンラインスタディツアーを開催。また、ダッカ大学日本語学科の学生たちとのオンライン交流事業では児童労働をテーマに話し合い、バングラデシュの児童労働の現状や日本のJKビジネス、ヤングケアラーなどの問題について各国の学生が発表しました。

 2022年、シャプラニールは50周年を記念して「ツナガリファンディング」を募り、在留外国人支援などの新しい事業にも生かしていきます。

 

(上)「NGOシャプラニール」国内活動グループ・ステナイ生活担当・髙階悠輔さん。 (左下)司会進行を務めたコープ自然派兵庫・川中理事 (右下)有吉理事

Table Vol.453(2021年11月)より
一部修正・加筆