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くらしと社会

憲法を変える?なぜ?どんなふうに?

政府は今、2020年までに憲法を変えようと公言しています。5月26日(土)、コープ自然派おおさか(ピースレラチーム主催)は憲法について自分のことばで話せるよう橋本智子弁護士(明日の自由を守る若手弁護士の会=あすわか)を講師に「憲法カフェ」を開催しました。

橋本智子弁護士も所属する「明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか)」は全国約600人の弁護士が各地で活動。当日は24条と戦争との関係や緊急事態条項の危険性についても取り上げました。
進行役を務めたコープ自然派おおさか・ピースレラチームの宮本安美さん。

 憲法とは権力を縛るもの

 まず、「憲法」とはどういうものか、「あすわか」制作の紙芝居を使って復習しました。「憲法とは、市民が国家権力に対して守ることを命じるルールです。市民は自由で平等な社会を運営するために、国家に権力を預けますが、その権力が好き勝手に使われては本末転倒なので、国家権力を手かせ足かせでがんじがらめにしておく、これが憲法です」と橋本弁護士。「表現活動を侵してはならない」(21条)、「特定の宗教について政治上の権力を行使してはならない」(20条)など、国家に対しての禁止命令は憲法の第一の役割です。     

 また、国家は市民が安心して生活できるようサービスし、生活に困っている人を助けなければならない義務(25条)があり、義務教育を無償で行う義務(26条)、勤労の権利を保障する義務(27条)なども明記されています。

自衛隊の存在を書き込む  

 安倍首相は2018年5月3日、2020年を新しい憲法が施行される年にしたい、9条1項2項を残しつつ自衛隊の存在を明記する文言を追加、高等教育無償化を定めた条文を追加したいと発言しました。「9条はそのまま残して、国民に受け入れられている自衛隊の存在を書 き込むだけだから何も変わらな い」と安倍首相は語っていますが、果たしてそうなのでしょうか。

 9条については自衛隊ができてから政府は一貫して自国が武力攻撃を受けたとき、それに反撃する個別自衛権までは認められると明言してきました。この考え方についても意見は分かれるところですが、2014年7月、「集団的自衛権も9条は認めている」という新たな憲法解釈が閣議決定されました。集団的自衛権とは日本が武力攻撃を受けていなくても、日本と密接な関係にある外国が武力攻撃を受けたときには一緒に反撃できる権利です。さらに、2015年9月、「安保関連法」が強行採決されました。今や自衛隊は専守防衛だけではなく積極的に海外に行き、際限なく武力行使できるようになったのです。

世界に誇れる日本国憲法

 憲法9条をみんなで読んだ後、橋本弁護士は3つの考え方を提示します。①憲法9条があっても、もしも日本が外国から武力攻撃を受けたときには、 自分たちを守る必要最小限の実力(軍事力)を用いて反撃することは許される②憲法9条があるから、もしも日本が外国から武力攻撃を受けたときにも、軍事力によって反撃することは許されない。だから、憲法9条を改正して、個別的自衛権を認めなければ国民を守ることができない③いかなる場合でも武力攻撃は一切しないというのが9条の宣言。これこそが世界に冠たる平和憲法であり、日本国憲法の真骨頂である。

 憲法前文には「…日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専従と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と 欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とあります。

 前文では、全世界の国民が戦争だけなくテロ、貧困、病気、恐怖と欠乏などのない社会の実現を求める権利があり、そのた めに日本は世界の国々と信頼し合える関係を築くことで名誉ある地位を占めたいと宣言しています。「どこかの国が攻めてきたら困るからと軍事力で備えるのではなく、どこの国からも攻められないような国になるという先進的な選択をしたのが日本国憲法ではないでしょうか」と橋本弁護士。南北に細長く、四方八方を海に囲まれた島国の日本は外国からの侵略に備えてすべての海岸線を守ることは不可能です。また、食糧自給率は低く、天然資源も乏しく、さらに今では海岸線に原発が林立しています。「そんな日本なので諸外国と良い関係を維持するしかないのです。70年前にこのことを宣言した憲法をもっと自慢に思っていいのではないでしょうか」と橋本弁護士は話します。

 橋本弁護士のお話の後は、憲法ビンゴを使って憲法について それぞれの考え方や憲法とのかかわりなどについて話し合い、さらにいろいろなスタイルの憲法カフェを開いて憲法を広く知らせることを検討しました。

Table Vol.370(2018年7月)

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