2021年7月9日(金)、コープ自然派おおさか「キッズ活動の会」は、摂津ポッポせんりおか保育園・壷井文栄園長を講師に迎え、「子どもの主体性を育てる」をテーマに研修を行いました。
自分で考えて行動する
乳幼児期の子どもは「遊び」を通して主体性が育ちます。主体性とは、自分自身で考えて行動する性質です。例えば、子どもがおもちゃの中から“ブロック遊び”を自ら選ぶことで、楽しさや満足感が得られます。自分で考えて作品づくりに取り組むことで集中力を養い、繰り返し挑戦しようとする意欲につながります。時間がない、片付けが大変だからと大人の都合でおもちゃを選ぶと子どもに不満が残ります。そして、大人が選んだおもちゃで遊ぶことが続くと、挑戦しようとする気持ちが働かなくなり、消極的で、何事にも受け身の子どもに育つ可能性があります。
「遊び」は集中力や想像力、忍耐力、協力する力、自己コントロールなど多くのことが学べます。乳幼児期はこれらの人間の土台をつくる重要な時期です。遊びを通して学んだことは、非認知能力を養います。非認知能力とは、思いやりや粘り強さ、やる気など偏差値やIQのように数字では測れない内面的な能力です。
子どもが大好きな手遊び歌を実習しました。「きゅうりもみ」は子どもをきゅうりに見立てて触れ合う遊び歌、1つ、2つ、3つと指で数えながら歌う「三ツ矢サイダー」は楽しいリズムと夏の季節が感じられて子どもに大人気。子どもは気に入った遊びを繰り返したがります。大人は変化を求めて新しい遊びや歌を教えようとしますが、子どもは次に起きる楽しみを期待して繰り返しているので飽きるまで何度も付き合いましょう。
「2時間程の限られた時間内で、初めて接する子どもに安心感と楽しく遊ぶ場を提供できるキッズスタッフのみなさんは、すばらしいスキルをお持ちだと思います。一時預かりでも子どもに寄り添う託児を目ざしてください」と壷井園長は話しました。
託児を円滑にするヒント
Q.子どもに効果的な言葉がけは?
A.子どもは否定されることが苦手です。否定の言葉は子どもの心に響かないので、また同じことを繰り返してしまいます。例えば、部屋を走り回る子どもに「走りません!」と注意しても、子どもはどうしたらいいのかわかりません。「歩きましょう」と声をかけてください。座ってほしい時は、「座りましょう」と言います。また、静かに遊んでいる子どもには話しかけずに見守りましょう。集中力を養っている大事な時間です。
Q.泣いている子どもへの対応方法は?
A.まず、子どもは泣くのが当たり前だと考えましょう。知らない場所、知らない人がいて不安な状況を理解しているということです。泣き止ませるのは難しいと踏まえた上で「いややねぇ、お母さんが来るまで一緒に遊ぼうか」と寄り添いましょう。
Q.おもちゃの取り合いの対応方法は?
A.年齢や発達段階によって対応の仕方が変わります。おもちゃを独り占めする子どもがいますが、「貸してあげなきゃダメでしょ」と否定的な言葉をかけてはいけません。まだ他人の物と自分の物の区別がついていない成長段階にあり、子どもの気持ちを尊重し見守ることが信頼関係につながります。他の子には、同じような別のおもちゃを一緒に探しましょう。やがて友だちとおもちゃの貸し借りができる次の段階へとすすみます。
Q.おもちゃを投げる子どもの対応方法は?
A.子どもは物が持てるようになると、次は投げるという発達段階にすすみます。投げるのも成長のひとつなので、投げても安全な物を用意しましょう。新聞紙でボールをつくって遊ぶのもいいですね。
Table Vol.449(2021年10月)より
一部修正・加筆