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くらしと社会

台所からのSDGs ~生ごみを宝物に~

2022年5月22日(日)、コープ自然派おおさか(蛍ブロック主催)では、高島邦子さん(NPO法人花と緑のネットワークとよなか)を講師に、学習会「台所からのSDGs~生ゴミを宝物に~」を開催、生ゴミの処理方法や環境に優しい暮らしのアイデアなどを学びました。

高島さんはコープ自然派おおさか組合員。会場の豊中市立環境交流センターでは「とよっぴー」を使った地元農家の野菜を定期的に販売しています

花と緑のネットワーク

 高島さんが暮らす豊中市では、1999年8月、とよなか市民環境会議に参加する市民と市、労働組合、事業者が一体となって、「生ごみたい肥化実験プロジェクト」を設立、市役所食堂の調理くずと食べ残しを活用したたい肥化実験を始めました。

 2000年には、市内の学校給食センター(2ヵ所)から排出される調理残渣と食べ残しに街路樹などのチップを混ぜ合わせてたい肥をつくり、「とよっぴー」と名付けました。「とよっぴー」は農家の野菜栽培や市内の公園の花壇づくりに活用、野菜は学校給食に提供したり、たい肥化施設に隣接する「とよっぴー農園」でも使われています。2002年、たい肥化事業化の開始に伴い、プロジェクトの名称を「花と緑のネットワークとよなか」に改称、高島さんは当初からのメンバーとして活動しています。

生ごみのたい肥化に挑戦

 資源を大切にすることで、地球に優しい暮らしをするために「5R」というアクションがあります。5Rとは、1.Refuse「断る、ゴミになるものは受け取らない」2.Reduce 「減らす、できる限りゴミが出ないものを購入する」3.Reuse「再利用する」4.Recyle「資源化する」5.Rot「たい肥化する」という5つのアクションです。

5Rアクション
1⃣ Refuse「 断る、ゴミになるものは受け取らない」
2⃣ Reduce「 減らす、できる限りゴミが出ないものを購入する」
3⃣ Reuse「再利用する」
4⃣ Recyle「資源化する」
5⃣ Rot「たい肥化する」

 循環型社会だった江戸時代には太陽の恵みと植物を利用して、食べものや生活用品、エネルギーなどをまかなっていました。そして、衣食住のあらゆる場面でリサイクル・リユースが行われていました。また、江戸の町が清潔だったのは、かまどの灰は肥料に、下肥は野菜と交換、古着やぼろ布はリサイクルし、瀬戸物や瓦のかけらは埋め立て、燃料くずは風呂屋で使われました。今、江戸時代の循環型社会を検証し、次代に生かそうという動きがあります。

 豊中市の2019年の家庭ごみ組成率は、生ごみがもっとも多く42.5%。そこで、高島さんはまず生ごみのたい肥化(コンポスト)を始めました。コンポストとは微生物などの力によって短期間で生ごみをたい肥に変える方法で、自然に醗酵させるよりもさらに醗酵しやすい環境が整えられるため、1~2ヵ月程でたい肥をつくることができます。生ごみのたい肥化にはコンポスト化装置を使った電気式をはじめ、昔ながらのミミズ式などさまざまな方法があり、高島さんは密閉バケツや段ボールコンポストでもたい肥をつくっています。

高島さんに生ごみたい肥のつくり方を丁寧に教えてもらいました。

地球に優しい暮らしを実践

 「コンポストを始めることで生ごみの量は4割減少し、ごみの量を考えて料理しなくても良くなりました。今では生ごみは宝物です。また、暮らしの中でさまざまな変化が起きました」と高島さん。なるべく地元産のものや微生物が分解できるものを買うようになりました。ラップもプラスチックも減らしたくなり、茶葉を沸かしてお茶碗で飲みたくなります。もちろん、食器洗いもシャンプーも石けんを使っています。

 参加者は高島さんが持参した生ごみたい肥の温かさや匂い、感触などを体感、高島さんにつくり方を教えてもらいました。そして、すぐに始められるようキットを持ち帰りました。

主催者からは「カジノの是非は住民投票で決めよう」という署名のお願いも。

Table Vol.468(2022年7月)より
一部修正・加筆

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