2021年7月10日(土)、「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」主催による「2021年遺伝子組み換えナタネ自生調査報告会」が行われました。
海外から輸入された遺伝子組み換え(以下、GM)ナタネが全国の輸入港や道路、住宅地で自生していることが確認されています。自生調査は、GMナタネが在来種を汚染し生物多様性を脅かしている実態の周知とGM汚染拡大防止のために2005年から始まりました。今年は7団体(生活クラブ生協・あいコープみやぎ・なのはな生協・パルシステム東京・コープ自然派・グリーンコープ共同体・遺伝子組み換え食品を考える中部の会)が37都道府県で885検体を検査。41検体にGM除草剤耐性が検出されました。輸入されるナタネのほとんどがGMであるにもかかわらず陽性率が低下傾向にあり、「隠れGMナタネ」「雑種ナタネ」が疑われます。「隠れGMナタネ」はタンパク質を調べる簡易検査で陰性だった検体を、遺伝子を調べるPCR法による再検査で陽性と判定されるものです。花を見ただけで「隠れGMナタネ」と予測できるベテラン調査員からの報告もありました。「雑種ナタネ」はオシベが異常に短く花粉がないため、受粉できません。
コープ自然派は5生協で67検体採取・調査し、兵庫県神戸港のJ―オイルミルズ神戸工場付近で採取した1検体から陽性反応が出ました。J―オイルミルズは食用油脂の製造・販売会社で、食用油の原料となるナタネを輸入しています。神戸港から陸揚げする際、こぼれ落ちたナタネが自生している現状について、企業側に伝え理解を深める努力を続けてきました。その結果、工場周辺や道路の定期的な除草・清掃など協力的な対応を得ています。また、岡村精油工場(大阪府柏原市)付近から1検体の擬陽性反応、2020年に2検体から陽性反応があった香川県坂出港周辺はすべて陰性でした。擬陽性の疑いも含めて来年度も引き続き調査を行います。ナタネ自生調査に使用する簡易検査キットは、組合員のカンパ金より購入し、調査を継続しています。
報告会後は河田昌東さん(遺伝子組換え食品を考える中部の会)、八田純人さん(農民連食品分析センター)、天笠啓祐さん(遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン)によるシンポジウム「一線を越えた遺伝子操作」が行われました。環境省でもGM生物による影響監視調査(GMナタネの自生調査)を行っていますが、調査場所を河川敷に限定し、2019年で調査を終了しています。農林水産省のGM植物実態調査では生物多様性に影響する怖れはないと結論づけ、各省庁の調査・対応は国民の不安を解消できるものではありません。また、ゲノム編集に関して、人体への影響が未解明であるにもかかわらず消費者が選択するための表示義務がないなどの問題点が議論されました。
Table Vol.448(2021年9月)より
一部修正・加筆