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食と農と環境

管理栄養士がいま伝えたい、食べるということ

コープ自然派組合員歴6年の管理栄養士・川島尚子さん。大阪府M市の学校給食室で食育分野をメインに給食や離乳食講座、食事指導などを担当しています。また、糖尿病クリニックでの食事指導や保育園の給食献立作成など幅広い分野で活躍。今回は学校給食を切り口にお話をうかがいました。

~学校給食に携わっておられているということですが、最近の傾向としてどんなアレルギーをもつ子が多いと感じられますか。また、その対策はどのように行っていますか。

 そうですね、やはり、卵・牛乳・小麦粉のアレルギーを持つ子が多いですね。でも、給食室に勤務するようになって多種多様なアレルギーをもつ子どもたちがいることに私も気付きました。ではたくさんの子どもたちが一度に食事をします。ですから、学校給食では、アレルギーを持つ子どもたちが誤食(アレルギー対応食ではない食物を口にしてしまうこと)してしまわないようさまざまな対策が講じられています。

 そのひとつとして、M市には低アレルゲン献立があります。保育園などでは「なかよし給食」と言い、例えば、基本は米食とし、カレーや揚げものにも米粉を使用するなど、多くの子どもたちが同じものを食べることができるような給食の提供方法です。そして、誤食防止、衛生管理、異物混入などのリスクをできるかぎり減らし、子どもたちが安心できる給食の提供は永遠の課題だと思います。

 またM市では、できるかぎり国産、できるかぎり地元産の新鮮な野菜を使うよう努めています。子どもたちも〇〇地区の〇〇さんの野菜を使っていると聞くと、作ってくださった農家の方への感謝の気持ちをダイレクトに感じているようです。自分たちが食べているものが、どこからやってくるのか、どうやって作られているのかを考えるきっかけとなる素晴らしい食育のひとつだと感じます。

~学校給食において、アレルギー以外で気になることはありますか。

 管理栄養士として、ひとりの親として産地や残食量は気になります。なぜ残してはいけないのか、みんなが理解しなければならない大事な問題だと思います。フードロスの問題はSDGsにも取り上げられています。成長期である学童期の子どもたちが食事を残す理由はいろいろあると思いますが、提供する側の工夫も必要です。また、子どもたちもそのことを理解しながら、おいしく食べる、というのが理想ですよね。

~ご自身が食材を選ばれるときの基準はありますか。

 コープ自然派に加入したのは、無農薬のお米や添加物の少ない加工食品が手に入ることがきっかけでした。子どもに肉加工品の添加物や農薬が使われたお米や野菜は極力食べさせたくないですから。

 コープ自然派の商品でとくに気に入っているのは、ウインナー、オーガニック食パン、神山鶏ぱくぱく餃子、ジェノベーゼソースなどです。「食材セット」も便利でよく利用しています。スーパーでお惣菜を買うよりずっと安心で美味しいと思います。

~最後に、食に関しての考えを教えてください。

 離乳食相談や食事相談、アレルギー食相談などでお話を聞く機会が多いのですが、偏った考えを持っている方が多いと感じます。例えば、卵でアレルギーが出たからなんとなく牛乳も避けているといった保護者の方。体重が少ないからと子どもにプロテインを飲ませる保護者の方、糖尿病にはナッツがいいとTVで言っていたからと、毎日せっせと摂取される糖尿病の方など。

 インターネットが普及し、TV以外にもSNSなどからさまざまな情報が流れてくるこの時代、情報が多すぎて大切なことが見えなくなっているのかもしれません。私たちの体は食べものから作られています。このことを忘れず、いろいろなものをシンプルに食べる、ということの大切さを伝えていけたらと思っています。

Table Vol.444(2021年7月)より
一部修正

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