2019年2月26日(火)、神戸・三宮で行われた学習会では、大井さんと海部さんのお話の後、2人を囲んで交流会を開催。

「自然豚」でおなじみ七星食品は新農場2軒と加工場を新設、新農場はアニマルウェルフェアに配慮した最先端システムを備えています。コープ自然派事業連合商品委員会は、七星食品・大井英樹さんと海部龍次さんを講師に学習会と豚舎見学を行いました。

組合員の願いから誕生

お肉博士の資格を持つ七星食品・大井さん。お肉博士は、食肉の歴史から衛生管理や格付け評価など幅広い知識が求められます。

 七星食品は、1951年に高松市の商店街で精肉店からスタートしました。「自然豚」は※PHFかつ非遺伝子組み換えトウモロコシ、大豆油かすなどを飼料とし、肥育期飼料給与期間中は抗生物質やその他の投薬などは一切行いません。コープ自然派とは1996年からの付き合いで、「安心して食べられる豚肉がほしい」との組合員の願いから、1998年、コープ自然派向けに「自然豚」が開発されました。初代「自然豚」はPHFかつ非遺伝子組み換えトウモロコシを飼料として愛媛県の契約農家で飼育。やがて、組合員数増加に伴い供給量が増え、自社農場で生産が開始されます。その後、2007年には「食材セット」で「自然豚」を使用したメニュー開発、2009年、飼料米の給餌開始(飼料の5〜8%配合)、2017年、「お米いちばん豚」開発、2018年3月、プロセスセンター加工場(現状の2〜3倍の製造が可能)完成、新農場建設計画など、コープ自然派の商品政策や成長とともに「自然豚」も発展してきました。そして、2019年3月、徳島県阿波市の繁殖農場、同年9月、徳島県海部郡美波町に肥育農場を建設、美波農場の完成で年間約20000頭の「自然豚」の生産が可能になります(現在、約8100頭を供給)

豊かな自然環境と広い空間

「阿波繁殖農場は四国初の管理システムを導入した最先端の農場です。日本の養豚のアニマルウェルフェアを牽引する意気込みでがんばります」と七星食品・海部さん。

 アニマルウェルフェアとは、誕生から殺までの期間をストレスなく健康的な生活がおくれるように家畜を飼育するという考え方です。「飢え、渇きおよび栄養不足からの自由」「肉体的苦痛と不快からの自由」「痛み・苦痛・病気からの自由」「正常な行動発現の自由」「恐怖や苦悩からの自由」とアニマルウェルフェアには5つの自由が定められています。この5つの自由を基本に、「豚の健康状態を観察・記録する」「豚を丁寧に扱う」「良質な飼料や水を与える」「豚舎の清掃・消毒を行い清潔に保つ」「快適な温度を保つ」「飼育スペースの適正な管理・設定」「換気を適切に行う」「有害小動物等の防除・駆除」を七星食品の飼育管理指針としています。

 七星食品の肥育舎の1頭あたりスペースは1.5㎡〜2㎡以上とアニマルウェルフェアに対応(EUは0.65㎡〜1㎡以上、米国は0.74㎡以上を基準とする)。※体重別で規定あり。さらに、3月に完成した阿波市の繁殖農場もフリーストールの広い空間で自由に寝て遊べる環境を整えています。また、最新機器の給餌ステーション、ICタグによる給餌管理や個体識別などを行う母体群管理システム(ベロスシステム)を導入。出産間近の豚の分娩舎への移動もコンピュータ管理のもと、自動的に誘導されます。出産と授乳を行う分娩用ストールは床面積4.3㎡のスペースを確保し(一般的には3.6㎡)、ストール横には仔豚用の保温箱を設置し抵抗力が弱い仔豚の温度管理も万全です。

 大きくなった仔豚は肥育農場(香南ファーム、高映牧場、志和岐農場、9月完成予定の美波農場)に移されます。肥育農場は開放型豚舎でバイオベット方式(発酵床)、ルーティング(鼻先で土や藁などを掘り返す行動)などの行動欲求にも対応。アニマルウェルフェアの考え方を取り入れ、ストレスを最小限に抑え、本来の生態・欲求・行動を尊重した飼育管理に努めています。※PHF…収穫後の農薬散布なし

繁殖農場「阿波ファーム」見学

 2019年3月12日(火)、母豚が妊娠出産する繁殖農場「阿波ファーム」(徳島県阿波市)を見学。156,631.0㎡の敷地に「繁殖・妊娠豚舎」「分娩舎」「離乳育成舎」が建設されていました。繁殖農場は見学後、完全消毒され、母豚・父豚を導入、最終的には母豚を800頭まで増やす予定です。

最先端の機械を導入した「繁殖・妊娠豚舎」。妊娠の有無はエコーで確認、さらにオス豚の匂いに不受胎のメス豚が反応して近づくことが判別できるよう設計されています。新システム導入でオートメーション化を図り、アニマルウェルフェアにもしっかり対応。繁殖農場「阿波ファーム」は従業員1名で約60頭の母豚を管理しています

組合員向けに「妊娠豚舎」をガラス窓から見学できるスペースも用意、床や壁に杉板が貼られた冷暖房完備の見学室です。

4月初旬完成予定の「分娩舎」。母豚は分娩10日前に移動し、仔豚とともに3週間過ごし、仔豚は「離乳育成舎」へ移動。仔豚は肥育舎(香南ファーム、高映牧場、志和岐農場、9月完成予定の美波農場)に移動するまで成長段階にそった配合飼料を食べて過ごします。繁殖農場と肥育農場を分けて運営するのは伝染病予防のため。

「分娩舎」は200頭が出産・授乳できるスペースを確保。豚の入舎後は部外者の入場が一切禁止になり、豚舎内に入る時は伝染病予防のため洗浄剤を使用して全身を洗い、豚舎内で洗濯された作業着に着替えます。多いときは1日に3〜4回体を洗うこともあり、徹底したバイオセキュリティを行っています。

豚は1度に10頭〜20頭を出産し、生まれたときから仔豚の生存競争が始まります。抵抗力をつけるのに必要な初乳が平等に飲めるよう強い仔豚をあらかじめ避け、順番に哺乳できるシステムを導入しているということです。

繁殖農場「阿波ファーム」は吉野川の河口まで見渡せる山頂付近の豊かな自然の中にあります。

「自然豚」「お米いちばん豚」「さぬきの夢うどん」が人気の七星食品へ組合員から「生産者さんへの手紙」が届けられました。

Table Vol.392(2019年5月)