コープ自然派京都・小林エリさんが運営する「sakura工房」は、食育・時間管理・布ナプキンなどの講座を通して忙しい女性たちを応援しています。食の大切さや子育てについて小林さんにお話を聴きました。
愛情いっぱい朝ごはん
sakura工房の食育講座は、<1.働くママのための食育の基本><2.簡単・おいしい・身体にやさしい朝ごはん><3.子どもがつくる料理≳をテーマにすすめます。
実践講座では忙しくても簡単に短時間でできる内容で、少人数の重ね煮講座・個別出張教室・オンライン教室などニーズに合わせて開催。体にやさしいメニュー4~6品を梅﨑和子さん主宰の「いんやん倶楽部」・陰陽調和料理教室師範免許をもつ小林さんが考案しています。
忙しいと食事の内容が適当になりがち、そこで、朝食だけでもしっかり食べてもらおうと、朝食の大切さを小林さんは伝えています。「朝食は1日を過ごすためのエネルギー源です。愛情がこもった朝食は、心身ともに守られていると子どもは感じます。朝食にはまず味噌汁、熱中症予防にも味噌汁は有効ですよ」と小林さん。しかし、食パンをトーストするのも難しく、菓子パンが朝食の定番という家庭が多いのが現状だということです。
1人で生きる力を育てる
忙しい大人に代わって、子どもたちが料理することを小林さんは推奨、好きな時に子どもたちがキッチンに入れる環境づくりとそのための大人側の余裕やその方法について伝えています。「多発する地震や豪雨などの自然災害、新型コロナウイルス感染症の流行など、先が見通せないことを痛感しています。いつ誰が危機にさらされるか倒れるかわかりません。子どもたちも1人で生きる力を身に付け、自立するべきではないでしょうか」と小林さん。緊急事態宣言下での自粛生活中、小林家では3人の子どもたちに毎日の昼食づくりを任せました。その結果、一人ひとりの好みや調理方法に個性があり、小林家のメニューの幅が広がったとのこと。また、子どもたちは料理本のレシピをそのままつくることがなくなり、アレンジが上手になりました。数あるメニューの中でコミック「毎日かあさん11巻」(西原理恵子/著・毎日新聞社)に出てくる「息子受験芋もち」が大好評で、4日間連続でつくり続け、「もう、やめて~」と大人が音をあげたほど。また、おやつのつくり方にも興味が広がった子どもたちは、ロールケーキやタルトなど手間のかかるメニューにも挑戦。「寝かせる」「裏ごし」「温度管理」など、複雑で1日で仕上げられない洋菓子の工程に「お店のケーキが高価な理由がわかった」と納得したということです。
「日々の暮らしの中で料理をすることで成長した子どもたちが、コンビニ弁当を買うか、スーパーマーケットに食材を買いに行くか、食に対する行動が変わります。保護者はいついなくなるかわかりません。選び方・考え方などを理解して大人になってほしいです」と話す小林さん。小林家の子どもたちは、食材を買う際、商品の裏側(原材料)をしっかりチェックするということです。
病気にならない体づくり
小林さんが食の大切さに気づいたきっかけは、出産後、母乳育児がうまくいかず、桶谷式母乳マッサージを受けたことでした。また、出産と同時期に夫が失明。さらに、失明によるストレスで夫が体調を崩したことから夫婦で食を見直しました。現在、夫は盲目のシンガーソングライターharuとして活動しています。
「1人暮らし、結婚、出産、子育てなど人には食について考え、変えるきっかけが何度もあります。そのチャンス時のお手伝いがしたいと思い、現在の活動を始めました。特に、働くお母さんにとって、急な発熱など子どもの体調不良は大問題、できるだけ病気にならない体づくりが大切です」と小林さんは話しました。
Table Vol.425(2020年10月)