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生産者訪問・商品学習会

わたしたちのまだ知らない豆腐の世界 —椿き家—

2024年6月4日、コープ自然派しこく(オリーブセンターたべる委員会)は椿き家の崎丸さんと菅原さんを招いて学習会を開催。豆腐へのこだわりと、おいしさの秘密に迫りました。

椿き家の崎丸さんと菅原さんを囲んで。コープ自然派しこくオリーブセンターたべる委員会のみなさん。

自然の恵みを豆腐に

 椿き家の社長、折笠廣司さんは子どもの頃、農薬の空き袋をかぶって遊んでいたことが原因で胃潰瘍を患い、10代後半まで苦しみました。そんな経験から「安全で安心できる食品づくり」を志すようになり、1986年に椿き家を創業。以来38年間、にがり以外の食品添加物を使用しない安全・安心な豆腐を作り続けてきました。

「広島の海と山に囲まれた場所で、大地から豆、海からにがり、山から水と、自然の恵みをいただいて豆腐を作っています」と崎丸さん。

国産丸大豆を100%使用

 椿き家の豆腐の原材料は大豆、にがり、水の3つだけ。大豆は、国産丸大豆を100%使用しています。「丸大豆」とは、皮付きで乾燥させた丸い状態の大豆のこと。水に漬けたら芽が出る「生きている大豆」です。大豆加工品の原料には、大豆を割って皮と芽を取り除いた「脱皮大豆」、粉末にした「粉末大豆」、油を搾った残りの「脱脂大豆」などがありますが、イソフラボンやレシチン、サポニンといった栄養素は皮や芽に多く含まれています。

 2019年の食用大豆の自給率は20%。国産大豆だけでは国民の食生活をまかなうことができず、輸入大豆に頼っているのが現状です。さらに、国産大豆21万トンのうち有機大豆は1500トン。1%にも満たない貴重な有機大豆を使って、椿き家の「自然派Style今城さんの大豆で作った国産有機豆腐」や「国産有機豆乳」は作られています。

「自然派Style 今城さんの大豆で作った国産有機豆腐」は2024 年6 月から包材を変更。年間約409 ㎏のプラ
スチックを削減できる見込みです

にがりにこだわる

 豆腐を固める凝固剤として、昔から海水から食塩を取った残りであるにがり(粗製海水塩化マグネシウム)が使われてきました。第2次世界大戦中、にがりが軍需物資(ジュラルミンの製造原料)として統制品になり、その代わりとして硫酸カルシウムなどが使われるようになりました。現在は主に4種類の凝固剤が使われていますが、椿き家ではいちばん大豆のおいしさを引き出してくれる昔ながらのにがりしか使いません。充てん豆腐・木綿豆腐には高知県室戸海洋深層水にがりを、絹豆腐には長崎県五島灘のにがりを使用しています。

 また、「にがり」と表示されていても、実際には加工しやすい「乳化にがり」が使われているケースがあります。これは、にがりを乳化剤や油でコーティングしたもので、にがり以外のものは加工助剤とみなされ表示義務がありません。椿き家では乳化にがりも一切使いません。

消泡剤も使いません

 水に浸してすりつぶした大豆を煮て豆乳を作る際、大豆に含まれるサポニンが大量の泡となるので、一般的には消泡剤が使われます。消泡剤も加工助剤とみなされて表示義務がありません。椿き家では消泡剤を使わず、煮釜を密閉式にしたり、真空脱気装置を導入することで泡を防いでいます。「一括表示を見ても分からないところまでこだわっています」と崎丸さん。

豆乳もおからもおいしさを追求

 豆乳もおからも、もちろん国産丸大豆100%。一般的に豆乳は130℃程度の加熱殺菌をして常温流通できるようにしたものがほとんどですが、椿き家では95℃で低温殺菌することで、大豆の風味を損なうことなく豆乳を作っています。この豆乳は、ホットプレートなどで沸騰させずに加熱することで、家庭で湯葉を楽しむことができます。

 おからは豆腐の副産物として豆乳を絞っただけの状態で売っているケースが多いですが、機械で絞ると大豆の旨み成分はわずかしか残りません。椿き家ではおからの専用ラインを設け、裏ごししてきめを細かく揃えた上で豆乳を足し、食べておいしいおからを作っています。

 「豆乳もおからも苦手だけど、椿き家のものは食べられる、という声をよくいただきます。製法も原料も手を抜かないこだわりのおいしさを、ぜひ試してみてほしいです」と菅原さんは話しました。

Table Vol.504(2024年8月)

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