「いただきます~みそをつくるこどもたち」は和食給食を実践する高取保育園(福岡市)の園児たちの様子を描いたドキュメンタリー映画。高取保育園は「知育、体育、徳育の根源に食育がある」を教育理念に、玄米、みそ汁、納豆、旬の野菜、本醸造の調味料を使用した日本の伝統的な食事を給食に取り入れ、園児によるみそづくりなど独自の食育活動を行っています。
園の取り組みは、戦後の学校給食で食の欧米化が進み、アレルギー疾患をもつ子どもたちが増えたことをきっかけに始まりました。日本の伝統的な和食やマクロビオティックなどを高取流に工夫し、認可保育園の栄養基準をクリアするためにタンパク源には大豆、カルシウムは煮干などの小魚などから補います。
高取保育園では、日課の崖登りなど自然に触れ合う戸外での遊びや、薄着・裸足で行うリトミックやリズム運動などを通じて子どもたちの五感を鍛え生命力を引き出します。給食で使われる園児約200人分のみそは、年長クラスの子どもたちが毎月100㎏仕込んだもの。卒園時期がくると、子どもたちが次の子どもたちへとみそづくりを伝える「みそ伝達式」を実施。高菜漬け、梅干し、たくあんづくりや玄米の炊き方などを学ぶ中で食べものをつくる楽しさ・大切さを子どもたちに伝えています。
上映後のオオタヴィン監督によるトークショーでは、その後の園児たちの様子など撮影裏話を紹介。オオタさんは自身の病気をきっかけに玄米和食の食事で体調を整えた経験があり、自分と同じ食事を実践している保育園があることを知って映画制作が始まりました。
映画は自主上映の形で全国700ヵ所で上映。そして、第2章「いただきます~ここは、発酵の楽園」が制作され、夏からの自主上映が予定されています。
Table Vol.417(2020年6月)