コロナ禍で右往左往する私たちを尻目に、季節は着実に前に進み、植物たちは今年も変わらず春の空気を楽しむように美しく花を咲かせています。人間は普段地球で一番賢くて偉いかのようにふるまうのに、本当は一番愚かで弱っちい存在なのかも知れません。

 喜ばしいセレモニーも、待ちに待った旅やイベントやお花見も、みんないっぱいガマンして。不自由な行動制限や、感染への恐怖や、ままならない日常生活にストレスを感じまくって。うつうつ気が滅入ることが多いけど、せっかくだからヒキコモリ休日を強いられるこの機会に、自分の「好き」や「大切なこと・もの」をとことん探ってみませんか?

 例えばね、私は3月はじめに台湾旅行を予定してました。今回はあそこでアレしてコレ食べて…とめちゃめちゃ楽しみにしていたのです。でもWHOから排除され、中国との関係で国際的に厳しい立場にありながらも、必死で国民を守り防疫に努める台湾政府を見ると、このタイミングで邪魔しに行くのはアカンなぁと泣く泣くキャンセル。ポッカリ空いた1週間は、初の有給休暇を取り一緒に旅するはずだった娘と「おうちで台湾大作戦」。台湾の美味しい食べものを家で再現するべく、前から現地で買い集めていたレシピ本を適当解読したり、ネットで調べ、味を思い出しながらの試作三昧。作ったメニューは、まだなんかちょっとちゃうけど…な「しじみの醤油漬け」もあれば、イケてる「大根餅」「牡蠣オムレツ」、こりゃ完璧♪な「胡椒餅」などなど。毎日嫌がらずに食べてくれたダンナにも感謝なのでありました。

 そうこう過ごしてわかったの。私はやっぱり台湾が大好きで、料理をするのも本当に好き。あーだこーだ考えながら調理して、レシピを書いて、誰かと一緒に美味しくいただく。こんな幸せなこと他にはない。時節柄、出講予定はすぺてキャンセル、料理教室なんていつ再開できるようになるのかさっぱりわからないけど、どんな日も料理は楽しい、ま、それでいいか。

 現実に向き合うと悲しいことも辛いことも多い今日この頃だけど、不満を抱え文句ばかり言っても何も変わらない。ウイルスとのバトルはどうやら持久戦になる雰囲気。まずは自分のこと家族のこと、身近な人のことを安全に幸せにするために何をすべきか、何ができるのかをしっかり考え、行動し、残った時間と心のスペースは、ちょっとだけでもあなたの「好き」でうめてみませんか?

料理研究家 うの まきこ 日本の伝統食を考える会会員。食品メーカーでアイスクリームなどの新製品開発等に従事したのち、料理研究家古川年巳氏に師事。わかりやすいレシピと、野菜をたっぷり使ったヘルシーで簡単な料理に定評がある。アトピーっ子のための簡単な除去食メニューも得意。コープ自然派奈良前理事長。

Table Vol.412(2020年3月)

「わくわくキッチン」の記事一覧>>