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くらしと社会

「投票の秘密」が守られない判決 ~障害者の代理投票を「投票事務従事者」に限定~

勝訴を信じて大阪地方裁判所まで行進する中田泰博さん(中央)。

 2013年に公職選挙法が改正されました。このとき、代筆できるのは「投票事務従事者」に限ると変更されました。中田泰博さん(コープ自然派おおさか組合員)は投票用紙に文字をうまく書けない障害があり、改正前は信頼する家族やヘルパーに代筆を依頼していました。ところが、この改正によって代筆者が「投票事務従事者」に限定されたため、それには堪えられないと2016年の参議院選では投票を断念、2017年に代筆を「投票事務従事者」に限るのは憲法で保障された「秘密投票権」の侵害だと国を相手に提訴しました。

 その判決が2020年2月27日、大阪地裁大法廷で言い渡されました。中田さんも支援者も弁護団も勝訴を確信していましたが、「訴えを全面的に棄却する」と裁判長。その後に読み上げられた判決文によると、憲法において「投票の秘密」が基本的人権として定められていることを確認しつつ、代理(代筆)投票をする者については、その権利が制約されることはやむを得ない。また、障害者をはじめとする「社会的弱者」は、家族・親族や支援者から不当な干渉や圧力を受けやすく、それを公的に守るためには、政治的中立が確保される公務員である「投票事務従事者」が適任だとしました。さらに、障害者が「投票事務従事者」以外に代筆を依頼したいと選んだ者(家族・友人・ヘルパーなど)が、「適格性、中立性を有することを投票管理者が一人ひとり確認することはきわめて煩雑で困難であるとして、「投票事務従事者」以外の者による代筆は認められないとしました。

 もちろん、家族や友人に代筆してもらうより「投票事務従事者」に代筆してもらいたいと願う人もいるでしょう。そういう人は「投票事務従事者」に代筆してもらえばよいのですが、中田さんは日頃から政治に関心が高く、面識も付き合いもない人に代筆してもらうことには大いに抵抗があり、信頼するヘルパーに代筆してもらいたいと願っているだけなのです。「この判決は障害者は投票するなということです。ますます障害者は投票に行かなくなります。私たちは司法に見捨てられた」と憤る中田さんは3月3日控訴しました。

 中田さんはコープ自然派おおさかのチーム活動「TEAM JINNKEN」でも活動、また、豊中市民として「森友問題」などの市民活動に関わり、それぞれの仲間たちも裁判の支援を続けてきました。

公判後の報告会で控訴の決意を語り、今後の支援を訴えました。

Table Vol.413(2020年4月)

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