菌興椎茸協同組合に引き続き一行は、「京谷さんの甘いにんじん」畑(米子市)を見学、梨のたにがみ農園(鳥取市)では谷上さんと交流を深めました。
京谷さんの甘いにんじん
雄大な大山と日本海に挟まれた京谷さんのにんじん畑は潮風が吹き寄せ、冬は厳しい寒さに晒されます。砂壌土と呼ばれる砂地の畑は塩分を多く含むため水分が排出されて野菜の味が凝縮し、ミネラル分が豊富で野菜の甘みと旨みが増すということです。しかし、水はけが良すぎるため、スプリンクラーでの水やりは欠かせません。スプリンクラーの水は奥大山から引いた清水を使用しています。
「京谷さんの甘いにんじん」は「ベータグロリア」という品種で、ふるさと納税などでも人気商品。加熱するとより甘みが強くなるのが特徴です。ベータカロチンが豊富で濃いオレンジ色、きめが細かく、洗浄機で泥を落とすと表面がピカピカに光ります。洗浄水にもこだわり、除菌・脱臭効果があるオゾン水を使用。「にんじんはジュースにすると味の違いがハッキリするので、このにんじんのおいしさがよくわかりますよ」と京谷さんは話します。しかし、ベータグロリアは形が揃いにくく、病気になりやすいなど、栽培が難しい品種で、栽培を始めた1年目は収穫量の10%しか商品として販売できませんでした。試行錯誤の末、5年間かけて70~80%まで生産を安定。しかし、従業員から「品種を変えてほしい」と言われるほど生産農家が減少しています。
京谷さんの畑は日本海から近いため、塩害の心配があります。塩分は味を良くする反面、葉の気泡を塞いで、植物の成長を妨げます。2019年は塩害による被害が2haに及び、32年間の農業生活ではじめて風にのって塩が飛ぶ様子を見たということです。
「にんじん嫌いの子どもに食べてもらいたい一心でつくっています」と話す京谷さん。京谷さんの甘いにんじんは地元の小学校の給食にも使用されています。
梨の生産者たにがみ農園
ネオニコチノイド系農薬不使用の梨の生産者、たにがみ農園・谷上正樹さん、雄亮さんが夜に行われた親睦会に参加。園主の正樹さんは蝶の保護活動に取り組み、「余戸地区ウスイロヒョウモンモドキを守る会」代表を務めています。たにがみ農園では、コープ自然派で毎年開催している「コープ自然派生産者&消費者討論会」をきっかけに栽培方法をネオニコチノイド系農薬不使用に切り替えました。梨の成分の90%は水分で、水は梨の味を左右する重要な要素です。たにがみ農園ではワサビが自生するほど清らかな水を使用しています。
二十世紀梨、新甘泉、南水、王秋、あたご、爽甘と多種類の梨を栽培し、収穫時期の違いを利用して長期間の出荷を実現、9月上旬から春先まで私たちを楽しませてくれます。
Table Vol.413(2020年4月)