パネラーの元木雅人さん(JOAA)、大島哲平さん(ひらかた独歩ふぁーむ)、鳥越靖基さん(YASKI FARM)

生産者&消費者討論会・第2部では、小祝政明さんをコーディネーターに、元木雅人さん(JOAA)、大島哲平さん(ひらかた独歩ふぁーむ)、鳥越靖基さん(YASKI FARM)によるパネルディスカッションが行われました。

コーディネーターの小祝政明さん

次世代につなぐ取り組み

 まず、元木雅人さんが取り組みを報告します。元木さんは島根県で(株)JOAAを小祝政明さんと設立し、副社長を務めています。また、BLOFインストラクターとして、全国各地でBLOF理論の学習会を行い栽培技術を指導。その事例報告として各地の生産者の様子が紹介されました。沖縄では、BLOFグループを立ち上げて、無農薬で糖度が高く、硝酸態窒素が低い作物を収穫。太陽熱養生処理によって成熟が早くなり、収量もアップしたということです。「おいしい野菜をいかに安定的につくるか、次世代につなぐ取り組みを生産者とともに実現していきたいです」と元木さんは力強く話してくれました。
※「太陽熱養生処理」とは、太陽熱と微生物の繁殖力を利用して、病害虫、雑草を抑制し、有機肥料成分の供給が効果的に行われるような土づくり手法。

BLOFインストラクターとして、産地開発と生産者育成に関わる元木雅人さん。

希望が見える農業を

 続いて、大島哲平さんの報告。大島さんは大阪府枚方市穂谷地域の有機農家で研鑽した後、2015年に「ひらかた独歩ふぁーむ」を設立。小祝政明さんが校長を務めるNPOとくしま有機農業サポートセンター・1期生で、毎年、徳島県小松島市で行われる「オーガニック・エコフェスタ」野菜コンテストでは高評価を得ています。正確な土壌分析による施肥設計、信頼できる資材を使用した土づくりで品質が揃い、作業効率も上がったとのこと。「有機農業によって食と仕事が生まれ、心身の健康が生まれ、学びや楽しみが生まれ、文化が守られ、自然環境が保全され、地域が活性化する…、そんなイメージを描いています」と大島さん。「ひらかた独歩ふぁーむ」で2年間、研修した青年が独立したのも励みになり、希望が見える農業をしたいと話します。そして、「たくさんの人たちと情報交換しながら取り組むBLOF理論、その輪に参加できていることが誇りです」と胸を張ります。

大島哲平さんはホウレンソウ、小松菜、コカブ、ニンジンなどを栽培。コープ自然派にはイタリアンミニトマトなどが届けられています。

地域資源を最大限活用

 YASKI FARMの鳥越靖基(やすき)さんは東日本大震災後、東京から熊本県山都町に移住し、おつれあいの万里子さん、岸千恵さんとYASKI FARMを設立。鳥越さんは音楽活動に励んでいましたが、東日本大震災後、宮城県石巻市にボランティアに駆けつけ、被災地での栄養状態の悪化を目の当たりにして、「自分たちは何もつくっていない」と山都町有機農業サポートセンターの研修生に応募、小祝政明さんのBLOF理論に衝撃を受けて有機農業への一歩を踏み出しました。

 阿蘇外輪山の中山間地域に点在する「YASKI FARM」では、火口から降り注ぐミネラル分豊富な火山灰、自生する牧草、抗生物質不使用の豚・馬・鶏の糞、乳酸発酵させた竹粉、廃菌床など地元の資源を生かして土づくり。「土の中に微生物が輝いているというイメージを描きながら農業をしています」と話す鳥越さんは、有機JAS取得に絶好だと耕作放棄地の開墾にも積極的です。「子どもたちや高校生、大学生たちにも畑に来てもらって、食事しながら暮らしや農業について話します。地域活動にも参加し、仲間たちとともに有機野菜を育て、感じ、味わいたいです」と鳥越さんは話してくれました。

鳥越さん。コープ自然派アンバサダーin九州では「YASKI FARM」を訪ねました。

3人の事例報告後は有機農業の実情や展望についてなど、参加者との率直な意見交換が行われました。

 全体のまとめを終えた後は交流会を開催、さらにさまざまな取組が紹介されました。

「 にんじんキャラバン」について報告するコープ有機九州支所・西山翔さん

北海道から参加した今城正春さんは北海道有機小麦プロジェクトについて報告。

交流会の司会を務めたコープ自然派奈良・上市理事長。

商品についての質問など、生産者と組合員が和やかに交流しました。

Table Vol.412(2020年3月)