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くらしと社会

あと伸びする子の家庭の習慣とは!?

講師の相澤 樹さん。多くの経験からあと伸びの可能性をテンポよく話します。

2019年5月24日(金)、コープ自然派おおさか(ビジョン「くらす」主催)は、社会に出て力を発揮できる子を育てるために、花まる学習会事業部長・相澤 樹さんを講師に学習会を開催しました。

幸せに生きていくために

 花まる学習会では、数理的思考力、読書・作文を中心とした国語力、野外体験の三本柱で、「メシが食える大人」「魅力的な人」を育てることを提唱しています。相澤さんは幼稚園で体操教師を経験後、2006年に花まる学習会に入社、子どもの行動の背景を見抜く観察眼と的確な指導、保護者へのサポートに定評があります。相澤さん自身2歳9ヵ月の子の父として、親の思い通りにはいかないことを実感する日々だと言います。

 小学4年生以上の子どもたちから見えてくるのは、その時点での学力・能力差よりも「幸せに生きていくための価値観」を体得しているかどうかです。このことが先の人生に大きな影響を与えているのではないかと相澤さんは考えています。そこで、幼少期に大切にしたいことは何か、家庭ではどのように取り組むかについて話しました。

社会で活躍する大人とは

 第一に「体力」。社会に出た時、カゼをひいても長引かない、疲れてもひと晩眠れば回復する体力があることが大切です。「22歳以降に体力がある子は、小さい時にしっかり汗をかける子。顔が真っ赤になり汗をかけない子は汗腺が未発達な場合が多く、小さい時に適温の環境で育ち過ぎている傾向があります。自分の身体で体温調節できる子が減っているのは、4〜9歳の間にどれだけ身体を思い切り使ってきたかが大きいですね」と相澤さん。就活では学生時代にどのように過ごしてきたか、何に打ち込んできたか、何を目的に過ごしてきたかを面接担当者は見ていると相澤さんは話します。

 第二に「心の力」。社会に出て仕事に取り組む場合、周りの人たちと合わせなければならない段階で、自分は無理だとすぐ仕事をやめるケースが増えているそうです。「大事なのは4〜9歳の時期にケンカして仲直りし、折り合う経験をすることで、しなやかな考え方がつくられていきます。子どもが傷つかないよう子育てするのではなく、子どもは何かあった時に聞いてほしい、受け止めてほしいだけ。最近は親が介入する過干渉が多く、自分の子どもの主張を重視しすぎないことが大事です」と相澤さんは言います。ちょっといやなことがあったりしんどいから学校を休みたいとぐずっても安易に学校を休ませないことで心も身体も鍛えられると。そして、「早起きや決めた時間に起きる習慣は大事で、一度始めたことを2〜3ヵ月でやめる人は、そうした習慣づけができない場合が多く、社会で必要とされるのはいるべき時にいる人、継続する力と自分の身体の回復力を信じられる人です」と相澤さんは話します。

あと伸びする子の習慣

 小学校中学年くらいでいつも100点をとっていると間違えるのを恐がってしまう傾向があり、70点でも間違えた30点に「何でやろう?」と思える子は伸びると相澤さん。評価ではなく承認が大事な時期で、評価を得るための勉強は楽しくないもの。しかし、子どものテストの点数を親は子育ての通知表のように捉えてしまいがちです。誰かの評価や「いいね」がないと不安になる風潮ですが、「失敗することを恐れない、周囲の評価に振り回されないためには、自分で自分のことを決めて自分で試す。失敗する自覚を持たせること。誰かに委ねるのではなく、自分で幸せを感じられ、幸せになれる力を持てる子になることが一番」だと。そして、何があっても安定する場、軸となる家庭の役割が大事だと強調します。

 あと伸びする子は総じて質の良い集中力があり、工作などの物づくり、迷路、読書、塗り絵などは好奇心や観察眼を育て、夢中になって入り込める能動性が得られます。逆にゲームなど刺激の強いものは受動的な集中となり、依存性の危険や生活習慣に影響する場合もあります。

 最後に相澤さんは、「言葉が人格をつくることを花まる学習会の15年間の経験で気がつきました。本来、あいさつは人を思いやる言葉。心を込めて上手にできる子は総じて学力が高く、家庭環境で得られるものだと思います」と結びました。自身の体験や心情を吐露しつつアップテンポな語り口に満席の会場は終始笑いに包まれました。

Table Vol.397(2019年8月)

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