コープ自然派しこくは、総代会後の交流会で「NPO里山の風景をつくる会」・近藤こよ美さんに日本の森の状況について話していただきました。
「NPO里山の風景をつくる会」は、四国の森の木を使った家づくりを通して森の再生を目ざし2002年に発足しました。また、コープ自然派と関西を拠点に国産材を使った住まいづくりを進めるNPO国産材住宅推進協会とともに「自然の住まい協議会」を結成し、3団体が同じ思いのもと森の再生に取り組んでいます。
日本は国土面積の3分の2を森が占め、その4分の1に人工林が植えられています。四国の森は面積の4分の3もの広さがあり、人工林の荒廃が深刻です。日本は戦後の高度経済成長の中で木材需要が高まりますが、1973年をピークに需要が減り木材価格が下落。安価な外国産木材の輸入量の増加などもあり、国産材の自給率は18.8%にまで低下しました(現在は34%まで持ち直しています)。日本の森林資源の蓄積量は50億㎥、そのうち人工林は30億㎥あります。そのようななか、毎年8000万㎥の森林が蓄積されていますが、1年間に4400万㎥しか木が利用されていないため、手入れが行き届かず、森が荒れ続けているということです。
ドイツから林業関係者が来日した際、「日本には真っ直ぐに伸びた良質の木が豊富にあるのに、なぜ活かされていないのでしょう」と質問されることがありました。ドイツの森は国土面積の3分の1、そのすべてに人工林が植えられ手入れされています。林業先進国ともいわれるドイツでは、高性能林業機械の導入、技術者の育成などに活発に取り組み、自動車産業の2倍の雇用や、GDPの5%に貢献するなど、経済的にも成り立っているとのこと。このような取り組みは、中世ヨーロッパで森林資源がエネルギーに変えられて枯渇した経験によるものです。16世紀、ドイツで森林の保護が始まり、森を絶やさず育てていこうという考え方が確立しました。「持続可能」という言葉が生まれたのもこの
頃です。現在、高知県梼原町を始め、ドイツに学び、森林資源の循環利用に取り組む地域が日本でも増え始めているということです。
「普段、森を目にすることがない都会の人たちも森の恩恵を受けています。豊かな資源を枯渇させないためにも、森をどう育てていくか、今、考えなければなりません」と近藤さんは締めくくりました。
Table Vol.373(2018年8月)