以前にも書いたことがあるのだけど、私はしばしば家で食べたものの種を蒔く。ちょっと前までは庭の適当な空きスペースや、いつの間にか先住植物が枯れた後の鉢にヒョイっと埋める感じ。気合いを入れて世話をすることもなく、気がつけば芽が出て(もちろん出ないことの方が多い)、少し育ってから葉の形や香りでやっと「あぁ、これはあの時植えたアレかな?」と気づく、その程度のゾンザイな育て方。でも植物の生命力は素晴らしく、いろいろ発芽した中でも、20年選手の柿や、5年もののブドウ・アボカドは鉢植えだけど1メートルは優に超えて成長。今の季節青々とした葉を茂らせてとても美しく、盛り付けの飾りとしても役に立つ。ただ残念ながら、どれもさっぱり収穫はなし。  

 大失敗だったのは謎の柑橘系の木。スダチかカボスか、はたまた国産ライムか、何かの種を蒔いたら忘れた頃に発芽して、みるみるうちに2m超えに育った。実が出来れば何の木かわかるだろうと地植えでワクワクしながら5年ほど様子を見たけど、待てど暮らせど実はおろか花すら咲かず、そのくせ太くて鋭い棘が枝いっぱいにつくせいで横を通る度に引っかかれて腕は傷だらけ。結局、堪忍袋の緒が切れた夫が大格闘して伐採する羽目に。きっと接ぎ木の品種で、台木がこういう性質だったのね、ほんと残念!

 そんなこんな失敗もあって、数年前から種を蒔いたら名札をつけることにした。面白いもので、適当植えだと植えたことすら忘れるのに、名札があると発芽が待ち遠しくて仕方ない。せっかく顔を出した弱々しい新芽が虫や鳥に食べられないように覆いをかけたり、日差しが適度になるようにせっせと置き場所を移動したり…、いつの間にか種様の下僕状態。

 最新の自慢のタネは「葉とらずリンゴ」と「ぼっちゃんカボチャ」、どちらもコープ自然派で買ったもの。カボチャは去年とても美味しかったものの種をきれいに乾燥させ、アルミにくるんで冷蔵庫で保管。5月初めに植えたら1週間ほどで力強く発芽し元気一杯成長中。美味遺伝子のはずだから実りが楽しみで仕方ない。リンゴは同じ日に植えて2週間で可愛い芽が出て感激!リンゴの木を見たことがないので、双葉も本葉もすべてが初対面でうれしくてうれしくて。お花が咲くまで育てることができたら感涙にむせぶかも。両方とも発芽率は8割超えですこぶる優秀。タネも優秀だけど世話する下僕も優秀なのでございますね。

料理研究家 うの まきこ
日本の伝統食を考える会会員。食品メーカーでアイスクリームなどの新製品開発等に従事したのち、料理研究家古川年巳氏に師事。わかりやすいレシピと、野菜をたっぷり使ったヘルシーで簡単な料理に定評がある。アトピーっ子のための簡単な除去食メニューも得意。コープ自然派奈良前理事長。

Table Vol.394(2019年6月)

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