「世界が行きつくところまで来てしまいました。今はオーガニックや環境を考えた持続可能な社会に転換する時期です」と料理研究家・中島デコさん。

コープ自然派しこくは、料理研究家・中島デコさんを迎えて四国4県の会場で講演会を開催。中島さんにはマクロビオティックや子育て、サスティナブルな暮らしについて語っていただきました。今回は、2018年12月7日(金)、アスティとくしまで開催された講演会について報告します。

豊かで心地よい暮らし

各会場で100名を超える参加があり、熱気に満ちた講演会になりました。

 中島デコさんとパートナーのエバレット・ブラウンさん(写真家)が運営する「ブラウンズフィールド」は、カフェや宿泊施設、自然食品店、田んぼ・畑を併設し、サスティナブル(持続可能)な暮らしを提案する拠点です。1999年、デコさん一家は東京から千葉県いすみ市の海と山と田園風景が広がる地域に移住。古民家を改装し、休耕田を借り、竹やぶを開墾して農園をつくるところからのスタートでした。田んぼや畑では田植え、草抜き、刈り取りなどすべて手作業、「種を蒔く生活をしたい」との思いから種は自家採種にこだわります。「種をつないでいくうちに、その土地に合った稲になり、草抜きは年2回ですむようになりました。化学肥料や農薬を与えている稲は栄養過多で実は多くつきますが、根が張らず、すぐに倒れてしまいます。ほったらかしではいけませんが、見守り、水をあげていれば強い稲が育つ、子育てに通じるものがありますね」とデコさんは話します。

 海外からも多くの人が見学に来るという「ブラウンズフィールド」。当初、「WWOOF(ウーフ)」(農業体験と交流NGO)というシステムを利用して、世界中から多くの人を受け入れ農園を運営していました。現在は、オーガニックファームで働きたい若者約10名が共同生活しています。卒業生たちは世界中に散らばり活躍の場を広げているということです。

 米、大豆、麦などの穀類をはじめ、柿、梅、野菜などさまざまな農産物を栽培、収穫物を使用して醤油、味噌、酢などの調味料や加工品をつくり、カフェや宿泊施設、自然食品店などで利用しています。

持続可能な暮らしを提案

 2006年、農機具小屋を改装して「ライステラスカフェ」をオープン。2012年、古民家を改装してオープンした宿泊施設「慈慈の邸(じじのいえ)」は、日本食料理人の次女が料理長を務め、発酵をコンセプトに地元のオーガニック食材を使用した会席料理を提供しています。「旅行先ではビーガン(絶対菜食主義)のお店を探して行くようにしています。環境や社会についてしっかり考えている人たちが集まり、いい出会いがあるからです。ブラウンズフィールドもいい出会いの場になることを願っています」と話すデコさん。また、「慈慈の邸(じじのいえ)」では年間を通じて「ブラウンズフィールド」の暮らしを体験できる「サスティナブルスクール」を開講。マクロビオティック料理教室をはじめ、農作業やワークショップなど多数の若者たちが衣食住を学んでいます。

 多くの人とのつながりから活動を広げてきた「ブラウンズフィールド」。最近、近所にある築250年の古民家が不動産会社の手に渡り、新建材の家に建て替えられようとしていたところ、クラウドファンディングを利用して約300人から750万円の支援を受けて守ることができました。現在、宿泊施設として運営しています。

デコ流マクロビのススメ

「生命力のある子に育てるヒントをいただきました」と司会進行を務めたコープ自然派しこく徳島センター・英理事。

 デコさんとマクロビオティックとの出会いは、16歳の時にアルバイト先の先輩から「玄米を食べると人生が変わるんだよ」と教えてもらったことがきっかけでした。当時は「そんなバカな」と思い、20歳代前半までファストフードや酒、タバコなども経験。その後、結婚・出産を考えるようになり、マクロビオティックを実践し、5人の子どもを自然分娩で出産しています。

 デコさんが定義するマクロビオティックとは、「長く思いっきり生きるための理論と方法」と「大きな視野で生命(いのち)を見ること」。「身土不二…体と土地は同じ」「一物全体…皮付き根付き全部を食べる」「陰陽調和…バランスの良い食べ方は心身が整う」の3つの大きな柱があり、住んでいる土地で獲れた旬の食材を丸ごといただく生命力に満ちたバランスの良い食べ方を意味します。「健康な人はにこやかで、他人に優しく、自然に人助けができます。まずは自分の心身を整えることが大切なのです」とデコさん。デコさんはマクロビオティックを続けている理由として、「1.シンプル」「2.おいしい」「3.工夫が楽しい」「4.腑に落ちる」「5.お金がかからない」を挙げます。旬の新鮮な食材はエネルギーに満ち、本物の調味料を使えばシンプルな調理方法で驚くほどおいしくなり、限られた材料を工夫してさまざまな料理をつくることがおもしろいとのこと。そして、環境問題や動物愛護の観点から、大量の穀物や水、化石燃料を必要とする肉の生産量を減らす自然に寄り添った考え方であり、持続可能な暮らしを考えればマクロビオティックは効果的な手段だということです。「贅沢なものを食べながら、体を動かさず文句を言って暮らすより、食や環境を考え、感謝して生活する方が10年後、20年後の自分の姿が違っているのではないでしょうか」とデコさんは締めくくりました。

講演会後はデコさんの著書の販売とサイン&写真撮影会と商品即売会を開催。

Table Vol.385(2019年1月)