(株)アンビエックス代表・相根昭典さん。自然素材の建築資材と施工を扱う(株)素材工房代表も務めています。

2018年9月14日(金)、コープ自然派兵庫(Fブロック主催)は一級建築士・相根昭典さんを迎えてシックハウス症候群の学習会を開催。住宅から発生する化学物質の体への影響、その対策方法などについて教えていただきました。

住宅には危険がいっぱい

 相根さんは日本で最初にシックハウス症候群の問題を社会に提起する活動を始めた、健康住宅の第一人者です。「現在使用されている建築資材に安全なものはありません」と相根さんの話は始まりました。現在の住宅は、内装のビニールクロスや断熱材、フローリングや家具などに使われる合板、接着剤、塗料、防カビ剤、防虫剤などから、ホルムアルデヒドや有機リン系・ネオニコチノイド系農薬などの化学物質が常に放出されている状態です。食べものから摂取した化学物質はさまざまな形で排泄されますが、空気から摂取した場合はほとんど体内に残ります。体に取り込まれる化学物質の83%が空気から、そのうち56%が自宅で。シックハウス症候群は軽度なものから、日常生活が困難になるようなものまで症状はさまざまで、症状が表面に出にくいため理解されにくいということです。

ゆるい日本の安全基準

 住宅の有害化学物質は約500種類ありますが、厚労省のガイドラインでカバーされているのは13種類のみ。昨年、15年ぶりに新物質が追加されましたが、一部が規制されてもそれに代わる化学物質が使用され、イタチごっこの状態です。また、改正建築基準法でシックハウス症候群の原因として挙げられているのは、ホルムアルデヒドとクロルピリホスの2物質のみで換気程度の対策しか提案されていません。

 国が定めた安全基準「F☆☆☆☆(エフ4スター)」建材で新築された住宅(厚生労働省のガイドラインの数値を下回る)でもシックハウス被害が出ています。「F☆☆☆☆」はホルムアルデヒドの発散量が最も少なく、相根さんが相談を受けた住宅では、国産スギの無垢フローリングや漆喰が使用されていました。しかし、フローリングに石油系塗料、漆喰の下塗り材には接着剤が使用されていたため、入居後、半日も住むことができず、施工業者を相手取り5年に渡る訴訟で和解したとのこと。「住むことができない上、法律に抵触しないため裁判で勝つこともできません。また、大手建設会社だから安全に違いないと信じ込み、体調を崩しても1人で住み続けて家族から孤立するなど家庭内不和が生じるケースが多数あります」と相根さんは話します。

 新校舎に残留した有害化学物質でシックハウス症候群を発症した生徒たちが起こした「シックスクール訴訟」など、子どもが授業を受けられなくなる深刻な問題が学校でも起きています。塩化ビニール製の水道管からは環境ビスフェノールA(環境ホルモン)が検出。産廃処理場では蟻が集団死する現象が起き、産業廃棄物から出る有毒ガスが原因といわれています。また、産業廃棄物の発生量は一般廃棄物の約8倍で、最終処分場の残存容量は首都圏で4.4年、近畿圏で8.98年と逼迫していることが環境省から報告されています。

有害化学物質を避ける

 私たちは化学物質から逃れられない生活を余儀なくされています。しかし、殺虫剤や合成洗剤の使用をやめ、食品添加物や農薬、遺伝子組み換え食品を避ける食事をするなど生活を見直すことで少しでも化学物質を避けることが可能です。そして、相根さんは「体と心を癒せる家」にするための安全な建材選びとして、①化学物質を可能な限り排除した建材②焼却・廃棄しても安心な建材③防腐剤・防虫剤処理をしていない建材④乾燥しやすい構造⑤自然素材の持ち味を生かす、などの条件を基準としています。また、室内の有害物質を放出・安定させて濃度を低減・持続する「有毒化学物質減衰工事」を行い、換気して空気の流れをよくすることで化学物質を流すと同時に暑さ対策にもつなげています。寒さには天然ウールの断熱材など壁や床の材質を工夫し、エアコンいらずの快適住宅を実現しているということです。

 相根さんは電磁波の危険性も指摘。電磁波過敏症など電磁波による体の不調はシックハウス症候群と酷似し、頭痛や疲労、倦怠感といったさまざまな症状があるとのこと。電気製品のスイッチを切れば磁場はなくなりますが、コンセントを差し込んだままでは電場が発生し続け、ノートパソコンからは800v/m、ホットカーペットは1000v/mが発生しています(スウェーデンの電化発生量限界値25v/m)。電磁波は電気製品にアースを取ることで大幅にカットでき、家庭で簡単に電磁波をカットする方法を教えていただきました。

今回の企画を提案し、当日の司会進行を務めたコープ自然派兵庫・中野さん。

Table Vol.380(2018年12月)