茨木オーガニック農業推進協議会(事務局·コープ自然派おおさか)は2025年11月24日、菌ちゃん先生こと吉田俊道さんを講師に迎え、ベランダなどで手軽にできる土づくりを学びました。

菌ちゃん農法とは
株式会社菌ちゃんふぁーむの代表を務める吉田さんは、長崎県庁の農業改良普及員を退職後、有機農業に新規参入しました。吉田さんが提唱している「菌ちゃん農法」は、肥料を与えずに野菜を育てます。落ち葉、枝、竹、生ゴミ、もみ殻などの有機物を畑に置いて、これをエサに糸状菌と窒素を固定する細菌が共生することで、空気中の窒素を取り込むことができます。つまり、土のなかで細菌たちが「見えない肥料工場」をつくり出すことで、病気に強く栄養価の高い野菜が栽培できるのです。

プランターでの土づくり
菌ちゃん農法では、広い畑に高さのある畝を立てて土づくりをしますが、より手軽に取り組めるようプランターでの土づくりを伝え始めました。プランターは乾燥しやすく菌の組成が変わりやすいため、できるだけ大きなコンテナを選ぶのがよいでしょう。
糸状菌の住処づくり
菌ちゃん農法で最初に活躍するのは、糸状菌という白い糸のようなカビの一種です。糸状菌は空気がないと育たないので、コンテナの底には排水効果のある小枝や竹を小さく切って入れます。次に、土が流れ出ないように薄く落ち葉を敷き詰めます。そして、落ち葉と土を混ぜて山盛りに入れて黒いビニールをかぶせます。糸状菌が育つ間に乾燥してしまわないように、土を手で握ると固まるぐらいに湿らせておくのがポイントです。空気が好きな糸状菌のためにビニールに指で穴をあけ、日の当たらない場所に置いて乾燥に気を付けながら保管します。

夏野菜にチャレンジ
11月につくると5月末くらいに土が出来上がり、夏野菜に使えます。コンテナは畑より土が乾燥しやすいので、ピーマンなどの果菜類は水分を蒸発させる葉を少なめに、コンパクトに育てるのがコツです。夏に育てるおすすめは空心菜。夏の日差しを浴びて葉に多くの栄養を含んでいます。初めのうちは収穫時に葉を少し残すと、光合成が進み早く再生します。これを数回繰り返すうちに根が張って、たくさん収穫することができます。
ファイトケミカルの働き
人は夏の強い紫外線を浴び続けるとやけどしてしまいます。これは活性酸素が生まれるからです。植物にとっても同じですが、植物は暑いからといって日陰に逃げることはできません。そこで、ファイトケミカルといわれる活性酸素消化物質をつくり、やけどから身を守っています。ファイトケミカルには抗酸化作用があり、この抗酸化作用を含む野菜を食べることで人は健康を保つことができます。野菜のファイトケミカルは夜の間につくられ、翌日の紫外線に耐えるために使われます。そのため夏野菜は朝採りが良いとされるのです。
菌の力でおいしい野菜
近代農業では肥料が必要だとされていますが、吉田さんは「微生物が出す代謝物質が、野菜はもちろん人をも元気にしているんです」と話します。微生物は何かの死がいを食べて生きものに活力を与え、ファイトケミカルが豊富にあれば野菜に虫が寄ってきません。「微生物の力で育つ野菜は菌の力を直接もらって、化学肥料にはない自然由来の微量ミネラルをもらうことができます。菌ちゃん農法で、健康でおいしい野菜づくりにチャレンジしてください」と吉田さんは語りました。
Table Vol.522(2026年2月)
