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食と農と環境

みんなで「私の田んぼ」を育てる田んぼの楽校in平野

今年も神戸市西区の田んぼで「田んぼの楽校in平野」が開催されました。〝マイ田んぼ制度〟を取り入れ、参加者が自分の区画を責任をもって手入れしながら、年間8回のプログラムと自主的な草引きを通して米づくりに向き合います。2025年11月9日には収穫祭が行われ、2025年度の田んぼの楽校は無事修了しました。

稲刈り後の集合写真

田んぼの楽校in平野ってなに?

 田んぼの楽校in平野は、2010年から地元の「上津橋土地改良区」、農と都市の共生をめざす「農・都共生ネットこうべ」、「神戸市土地改良センター」、「コープ自然派兵庫」が協働して続けてきた取り組みです。無農薬の米づくりと生きもの観察を軸に、田んぼを通して季節の変化を五感で味わいます。校長を務めるのは、コープ自然派の産直米〝なでしこ米〟生産者であり、上津橋土地改良区理事長の澤田正行さん。コープ自然派の組合員をはじめ、食や環境に関心をもつ市民グループなどさまざまな人が集います。

澤田校長

10年以上受け継がれる種

 田んぼの楽校の大きな特徴は〝種〟をつないでいること。使用する種もみは、前年に収穫した〝なでしこ米(ヒノヒカリ)〟。種もみ消毒に農薬は使わず、60度の湯に10分浸す温湯消毒を10年以上続けています。自分たちで育て、収穫し、その種を翌年へとつなぐ循環が、毎年積み重なっています。開校式では種をまき、発芽した苗は田植えまで澤田校長が育てます。代かきはどろんこ運動会さながらのにぎわい。田植え後は草引きの日々が続き、手をかけた分だけ稲が元気に育つ様子が次への原動力になります。

田んぼの楽校の生きものたち

 もうひとつの特徴が、生きものと人が行き来できる田んぼづくりです。水源となる大池にはコウノトリが飛来し、春にはれんげ畑となった田んぼにヒバリやムクドリが舞います。2016年に設置した水田魚道も、この田んぼの大きな特徴のひとつ。水路と田んぼを魚道でつなぐことでモツゴ、ドジョウ、メダカが遡上し、田んぼで産卵して育ちます。ホウネンエビやミジンコ、ヒメガムシ、ヌマガエル、オタマジャクシなど多様な生きものが棲み、稲刈り前に水を落とすと元のすみかへと戻っていきます。生きもの観察は「農・都共生ネットこうべ」を中心に、子どもたちの環境教育を行う「NPO法人エコレンジャー」や「玉一アクアリウム」と連携しています。大池では神戸市環境局とともにアカミミガメの防除にも取り組んでいます。

新米と秋の恵みに感謝して

 収穫祭では、炊き立ての新米と「自然派Style国産具材のおみそ汁豚汁」を囲み、秋の恵みに感謝しました。雨天にもかかわらず約100人が参加し、用意したごはんは9升。あちこちから「おかわり!」の声があがりました。
 田んぼの楽校in平野が始まって15年。今年は過去最高の511㎏の収穫量を記録しました。農・都共生ネットこうべの金下さんは「マイ田んぼ制度によって、一人ひとりが責任を持って良い状態の田んぼを翌年使う人へ渡そうという意識が結果につながったのでは」と振り返ります。実行委員会と参加者が積み重ねてきた取り組みの成果といえます。
 住宅地に囲まれた明石海峡大橋を望む場所で行う「田んぼの楽校」。都市にあるからこそ、生きものに支えられた農業の意味も、食べる人とつくる人がつながる価値も一層伝わります。澤田校長は「農や食をどう守っていけるのか。その問いを、体験で終わらせず、日々の暮らしの中で活かしてほしい」と話します。

「こども編集部」による田植えの動画

Table Vol.522(2026年2月)

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