
同年代男女6人の気楽な飲み会。家庭的な居酒屋さんのメニューには「オムレツ」がありました。「そういえば子どもの頃のおうちのオムレツって玉ねぎのみじん切りとミンチを炒めた具が入っていたよね~」とお刺身つまみながら何気なく言ったら、全員大きくうなずいた。「最近はオムレツというとプレーンなものに数種類から選べる凝ったソースをかけるパターンばかりみかけるけど、あのおかんオムレツ懐かしいなぁ」と還暦越え集団らしくセンチメンタルな流れになり、あれには何をかけていたかでワイワイ議論。ケチャップ派、ソース派、具の味付けが濃かったから何もかけない派、集中砲火を浴びたマヨネーズ派と意見はバラバラ。しかしそこから派生した「今どきのオムライスのゆるゆる卵はケシカラン!薄焼き卵でチキンライスをくるりと巻いてシンプルなケチャップをだらりとかけた物こそがオムライスだ!(年寄りくさいって言わないで~)」には満場一致したのでした、メデタシメデタシ。
帰宅しても昭和オムレツが頭から離れず、ダンナに報告したんですね。話はひろがり「桜でんぶ入りの巻きずし」「かあちゃんが何にでものっける缶詰の真っ赤なチェリー」「ホワイトアスパラの缶詰のサラダ」「お歳暮で届いたハムを厚切にして焼き、缶詰パインをのっけたハムステーキ」などなど最近とんと口にしていない、私もつくっていない家庭料理が次々出る出る。
その後、娘とSNSでやりとりしている時にもその話題になり、「バタークリームのピンクのバラと緑の葉でデコレーションしたケーキ」「固いプリンのまわりを飾り切りしたフルーツで派手に飾り立てたプリンアラモード」「ミルクセーキ」「ババロア」などのメニューが昭和の喫茶店には普通にあったと聞いている…って、まるで絶滅危惧種のお話しやん。
ちまたでは昭和レトロなんて言葉があり、純喫茶ブームがきているらしく、2年ほど前のある日、クラシカルな内装でコーヒーがやたらと濃く、いつもすいてる老舗喫茶店に立ち寄ろうとしたら若い人の行列ができていて驚いた。もはやレトロなのね、私たちが生きてきた時代は。
ところで例の居酒屋さんで、何の説明書きもなくメニュー名だけ書いてあった「オムレツ」をお開きになる前におそるおそる注文した。お皿にのった卵の中には理想的なミンチ炒め♪そして私たちのアイドルオムレツにかかっていたのは、焼きそばソースとマヨネーズ!これ食べて帰ろうと言っていたのに盛り上がっちゃって、もう一杯ずつオーダーしたのは仕方ないよね。
うのまきこ | UNO Makiko
料理研究家。食品メーカーで新製品開発等に従事したのち、料理研究家・古川年巳氏に師事。わかりやすいレシピと、野菜をたっぷり使ったヘルシーで簡単な料理に定評がある。アトピーっ子のための簡単な除去食メニューも得意。コープ自然派奈良元理事長。
Table Vol.520(2025年12月)

