ICEBA(アイセバ/生物の多様性を育む農業国際会議)は、生物多様性を基盤とした地域循環型農業技術の確立と、国内外への普及を目指す国際会議です。2025年7月12日・13日には、7回目となるICEBA7が徳島県小松島市で開催されました。
7月12日当日は徳島・宮城の高校生と韓国からも参加して生きもの調査が行われました。高校生たちは5月から2度のプレワークを行い、ICEBA7の目的や有機栽培の意義、生きもの調査の方法などを学んできました。

有機農業サポートセンターの田んぼで生きもの調査
生きもの調査の指導はNPO法人田んぼの舩橋玲二さん。田んぼの泥を網ですくい、洗い流してからバットに広げて生きものを観察し、在来種のヒメタニシやシジミ、チビゲンゴロウなどが見つかりました。舩橋さんは「田んぼの生きものを調べることは、米づくりを助けるパートナーを知ることです。田んぼに水を張ったまま中干ししないことで生きものが豊かになり、田んぼに良い影響があることを農家の方に伝えたい」と話しました。

ガス湧き調査
簡易型ガス検知器を稲の近くに突き刺して、湧き出てくるガスの濃度を計ります。この検知器を考案した株式会社カゴメの中島良子さんから「田んぼに硫化水素ガスが湧くと稲の成長に悪影響をもたらします。未分解の稲など有機物が腐敗する際にガスが発生するので、ガスの量を数値化することで田んぼの状態を知ることができます」と説明がありました。

高校生からの報告
阿南光高校産業創造科
1年前から生物多様性をフィールドから考える講座を受けてきました。中干しをする慣行農法の田んぼには水生昆虫が少なかったのですが、有機栽培の田んぼには食物連鎖のピラミッドができあがっていました。生物多様性を育み、持続可能な環境に配慮した有機農業が大切だと感じました。
小松島西高校食物科
普段の活動ではできない生物多様性フィールドへの参加はいろいろな発見がありました。有機農業の田んぼではさまざまな生きものが見つかり、ガス湧き調査ではメタンガスはほとんどなく田んぼの状態が良いことがわかりました。この経験を今後の商品開発などに活かしていきたいと思います。
宮城県古川黎明高校
ラムサール条約湿地に登録されている蕪栗沼の冬水田んぼで生きもの調査を行っています。徳島の田んぼに生息している生きものは、ミナミヌマエビやイトトンボのような蕪栗沼と同じものもいれば、蕪栗沼にはいないチビミズムシやカイミジンコなどが見つかり、地域での生きものの違いを知ることができました。
Table Vol.518(2025年10月)

