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くらしと社会

平和は守るもの、そしてつくるもの

2025年5月3日は憲法記念日、各地で憲法集会が行われました。神戸市みなとのもり公園ではメインスピーカーの国際交流NGOピースボート共同代表畠山澄子さんが平和と憲法の大切さについて語りました。

畠山澄子さんのモットーは「迷ったらやってみる!」

被爆者の声が教えてくれたこと

 ピースボートの出発点は、1982年の教科書問題でした。文部省(現・文部科学省)が歴史教科書検定の際、日本のアジアへの「侵略」を「進出」に書き換えられるという報道に近隣諸国が抗議し、国際問題となりました。このとき「自分たちの目で歴史を確かめよう」と旅に出た学生たちによって立ち上げられたのがピースボートです。
 過去の戦争を見つめ、未来への平和をつくることをめざす国際交流の船旅ピースボート。畠山さんは高校卒業後すぐに通訳ボランティアとして参加し、広島・長崎の被爆者100人と共に世界を巡りました。その旅で出会ったのは、原爆被害による言葉では語り尽くせない人生でした。被爆者の声を受け止め、通訳して伝えるなかで、「長崎を最後の被爆地にしたい」と語る被爆者の、「核兵器のない未来を願っても、私は生きていない。だからあなたたちが頑張ってほしい」という言葉。それが畠山さんの原点です。

忘れてはいけないもうひとつの視点

 平和を語る上で忘れてはならないのが、日本の加害の歴史です。韓国の学生は、被爆者の話に心を痛めながらも畠山さんに問いました。「核兵器は許せない。でも、日本の被爆者が〝平和の象徴〟として語られると、私の祖父母が日本軍から受けた苦しみがなかったことにされているように感じます」と。「平和を語るとき、加害の歴史に向き合わなければ国際的な説得力は持ち得ません。でも、被爆者の苦しみが軽視されていいわけがない。だからこそ、誰にも起きてはならない非人道的な出来事として世界に伝えていきたい」と畠山さんは話します。

いのちが選別されない世界へ

 世界には、核による傷を抱える人たちがいます。核兵器が存在する世界とは、〝いのちを選別してもいい〟という価値観を認めることであり、多数の安全保障のためなら、少数の犠牲は仕方がないと考えることです。それは、戦争や軍備を肯定することとも根っこは同じです。畠山さんは「誰かが犠牲になる仕組みの上に成り立つ社会を変えたい」と言います。
 2017年、国連で採択された核兵器禁止条約は、国連の一国一票制度のもと、多くの小国や市民の声が積み重なって成立しました。畠山さんは「草の根の活動には意味があります。すぐに結果が出なくても、今日の一歩はきっと未来につながります」と。

被爆の声を今につなぐ

 ピースボートには様々な国籍の若者が参加しています。アメリカの大学生は、「被爆者から『多くの人に伝えてください』と言われたことが印象的でした。自分の行動で核兵器も戦争もない未来へ少しずつ変えられるかもしれない。自分も歴史の一部だと気づきました」と話したそうです。被爆の記憶を辿ることは、過去を知るだけでなく、今の世界とつながることでもあります。地球に生きる一人として、不条理の中で生きるガザやウクライナの人たちの叫びに応えることができたなら、それは、彼らにとって「世界から見捨てられていない」と、明日を生きる希望になるかもしれません。
 平和国家を掲げる日本の防衛費は8兆円を超え、世界で10番目の軍事大国です。その軍事費は、防衛という大義名分のもと人のいのちを奪うために使われます。畠山さんは「戦争に抗い、憲法が大事だと言い続けましょう。平和は壊してはいけないし、積極的に守らなければならないものです。もし政府がその逆を進むなら、私たち市民が〝平和主義のあるべき姿〟を示していきたいです。今日も、そして明日からも頑張りましょう!」と呼びかけました。

参加者は配布されたプレートで意思表示をしました。
集会後はパレードに参加

Table Vol.516(2025年8月)

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