2025年7月6日、コープ自然派おおさかでは、日本消費者連盟顧問の天笠啓祐さんを招き、食の安全と食品添加物を学ぶ講演会を開催しました。

食品添加物とファストフード
近年、ファミリーレストランやコンビニ、ファーストフード店など大規模なチェーン店が人気です。これらは大きな工場で一括生産して全国各地に届け、安価に提供することで広がりました。これには食品添加物が大きく関わっています。私たち日本人は食品添加物やそれと同じ働きをする甘味料や加工デンプンなどを含めると、一年間に平均で一人当たりに約27㎏もの食品添加物を摂取しています。
疑わしい食品添加物の安全性
食品添加物の安全審査は動物実験によって行われていますが、その結果を人に換算する根拠は曖昧です。さらに、多くの種類の添加物を同時に摂取した場合の体や心への影響はわかっていません。
輸入の自由化や促進によって食べものの海外依存度が増していますが、食品添加物もまた輸入量が増加しています。輸入食品添加物には不純物が多いのです。その中には大変有害なものもありますが、海外で作られる食品添加物の品質に関するチェック機能や規制はありません。この問題について消費者庁に掛け合っていますが、同庁は大手企業からの出向者が多く、消費者の意見が聞き入れられないのが現状です。
農薬が食品添加物!?
ロシアのウクライナ侵攻以降、肥料の輸入が滞ったように食料への影響が出ることを避けるために、政府は友好国からの輸入を強化する方針を出しています。しかし最大の友好国のアメリカの要求は厳しく、生のじゃがいもを日本に輸出するにはポストハーベスト農薬(PH・収穫後農薬)が障壁となるため、この農薬を食品添加物指定に変更し、規制が緩和されました。さらにアメリカは、食品添加物も売れない原因になるとして、食品添加物表示をなくすよう迫っています。

食品添加物以外にも食への脅威が
ゲノム編集技術により日本では高ギャバトマトやマダイ、トラフグが市販され、豚などの家畜にも応用が広がっています。しかし、遺伝子はバランスで保たれています。「特定の遺伝子を壊すと、そのバランスが崩れます。必要のない遺伝子などないのです」と天笠さんは話します。
また、ネオニコチノイド系農薬への批判が強まり、代替の殺虫剤が増えていますが、その農薬にはフッ素を使用しているものが多く、その多くがPFAS(有機フッ素化合物)です。
学校給食の有機化の必要性
農薬残留検査を行うデトックス・プロジェクト・ジャパンでコープ自然派組合員の子どもの尿検査をしたところ、量の多少はありますが全員から農薬が検出されました。天笠さんは、「家庭の食事で農薬に気を付けていても、学校給食を食べる子どもの健康を守るためには学校給食の有機化は必須です」と。
食の未来を守るには
現行の食品表示制度では、どのような食品添加物が使われているか正確に読み取ることはできません。しかも食品添加物も農薬も問題が指摘されるたびに代替品が登場しますが、本質的な解決には至っていません。
「安全な食品を選ぶには、コープ自然派のような安全基準が明確で、きちんと情報提供している生協を利用するのが賢明です」と、天笠さんは表示規制の対象外であるカタログの活用をすすめます。そして、「一日に3回の食事に何を選ぶかで世の中を変えることができます。安全な食品を選び、食の未来を守りましょう」と語りました。
Table Vol.519(2025年11月)
